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ちばぎん
住まいのこと
2023.11.22

女性一級建築士が解説!掃除が楽になる家づくり

掃除が楽になる家づくり

憧れのマイホーム。理想の間取りや設備のことを考えるのはもちろん重要ですが、掃除の手間を減らす工夫も忘れてはなりません。毎日の掃除が楽になれば家事の負担が軽減され、より快適な生活が実現できることでしょう。そこで、女性一級建築士のしかま のりこさんに、きれいを保ちながら掃除が楽になる家づくりについて伺いました。掃除がしやすくなる床材や内壁材、ロボット掃除機が活用しやすくなる住まいの工夫などをご紹介します。

しかま のりこ プロフィール
COLLINO(コリーノ)一級建築士事務所代表
「~地球にやさしい 家族にやさしい~」をコンセプトに、延べ5,000件以上の住戸の設計・検査・審査に携わる。また、これまで300軒以上のリビング・寝室・子ども部屋の模様替えをおこなった実績から、模様替えのスペシャリストとして、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「日曜ビッグバラエティ」、扶桑社「住まいの設計」、小学館「週刊 女性セブン」などのテレビ・雑誌でも活躍中。
書籍「狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール」(彩図社)
COLLINO一級建築士事務所:https://collino-home.com

COLLINO一級建築士事務所代表のしかま のりこと申します。住まいを清潔に保つには、日々の掃除が必要不可欠です。しかし、一戸建て住宅は住み始めてから掃除のしにくさに気づくケースが多いんですね。原因は床材や内壁材の選び方から間取りや造り付け収納のつくり方まで、多岐にわたります。今回は掃除がしやすくなる家づくりについて解説しますので、新築やリフォーム時の参考にしてみてください。

目次
  1. 1.掃除がしやすくなるおすすめ床材
  2. 2.掃除がしやすくなるおすすめ内壁材
  3. 3.掃除がしやすくなる新築やリフォーム時の工夫~ロボット掃除機をフル活用できる間取りと設備
  4. 4.まとめ

1. 掃除がしやすくなるおすすめ床材

掃除がしやすくなる床材①「複合フローリング」のメリット・デメリット

掃除がしやすくなる床材「複合フローリング」

「複合フローリング」は、合板の表面に化粧シートや天然材を張り合わせた床材です。無垢材の床と違って板の反りや収縮のリスクが少なく、加工性にも優れているため木製フローリングとして広く浸透しています。表面が加工されているので汚れがつきにくく、お手入れが簡単なのも特徴ですね。耐衝撃性や耐摩耗性もあるため頑丈で、掃除機をかけやすいのもメリットです。

最近では木材にプラスチック樹脂を浸透させ、傷や汚れに対してさらに強くなったフローリング材も販売されました。ほかにも抗アレルゲンの機能を向上させたものやペットの習性に配慮したものなど、バリエーションも豊富です。

ただし、すり傷や汚れには強いものの、ベースが木材なのでクッション性には欠けるため、重たいものなどを落としてしまうとへこみやすいので要注意。また、フローリングを選ぶときに濃い色味のものを選ぶと、傷や白いほこりが目立ってしまいます。対策としては明るい色やグレー系などを選ぶといいでしょう。

複合フローリングをメンテナンスする際の注意点は、ハウスメーカーから受け取る仕様書などをしっかりと確認することです。新築時のきれいな状態のフローリングに樹脂コーティングなどをおこなう方もいますが、剥がれにくいものを使ったことであとからメンテナンスが大変になるケースもあります。複合フローリングはそのままでも十分にきれいで丈夫ですし、ハウスメーカーによっては最初にワックスをかけているケースもあるので、仕様書の注意書きをしっかりと確認してメンテナンスするようにしてください。

掃除がしやすくなる床材②「フロアタイル」のメリット・デメリット

掃除がしやすくなる床材「フロアタイル」

「フロアタイル」は、プラスチック樹脂(ビニル樹脂)からつくられているタイル状の床材です。フローリングより頑丈で傷がつきにくく、へこむことが少ないのもメリット。掃除機をかけやすいうえに水や油汚れをはじいてくれるので、掃除の手間を減らしやすい床材といえるでしょう。汚れが目立ったら水拭きもできますし、耐久性にもすぐれているので長く使えます。部分的に破損しても、その部分だけを取り外してリフォームできるので、メンテナンス性もいいですよ。ビニル製なので静電気によるほこりがつきやすいというデメリットもありますが、帯電防止のフロアタイルを選ぶことでカバーできます。

デザインが豊富なのもフロアタイルの魅力。大理石調やフローリング調など、好みに合わせておしゃれな床がつくれるのでリビングや個室に採用するご家庭が多いですね。ただし、フローリング調のフロアタイルは本物のフローリングと比較するとテカリや凹凸のない“のっぺり感”があり、近くで見るとやや偽物感がでてしまいます。また、フロアタイルには継ぎ目があるため、きちんと施工できていない場合、水をこぼしたときに下へ浸透しやすかったり、継ぎ目に汚れがたまりやすくなったりします。

総合的な掃除やメンテナンスのしやすさでは、複合フローリングよりもフロアタイルのほうが優れています。しかし、床材によって部屋の印象は大きく変わるので、どのような部屋にしたいか?イメージを固めてから床材を選ぶようにしましょう。

掃除がしやすくなる床材③「クッションフロア」のメリット・デメリット

掃除がしやすくなる床材「クッションフロア」

「クッションフロア」はシート状の塩化ビニル製で、柔らかくクッション性の高い床材。水に強く、油などの汚れがついても雑巾でサッと拭くだけできれいにできます。目地(継ぎ目)がないため掃除もしやすく、トイレや洗面室などの水回りに採用されることが多いです。

クッションフロアの場合、掃除は楽にできますが、ビニル製なのでほこりがつきやすく、泥や空気中のタールなども吸着しやすいのがデメリットといえます。白系や明るいベージュなどを採用すると汚れが目立ちやすいので、黒やブラウン、濃いグレーなどの色がおすすめです。また、鉄筋コンクリート住宅の場合、下地によっては「夏型結露」が起こりやすいので要注意。結露やカビの発生を防ぐには、防カビ仕様のクッションフロアを選び、施工時に二重床にしておきましょう。

2. 掃除がしやすくなるおすすめ内壁材

掃除がしやすくなる内壁材①「ビニールクロス(表面強化)」のメリット・デメリット

掃除がしやすくなる内壁材「ビニールクロス」

内壁材では「ビニールクロス」、とくに表面強化タイプがおすすめ。一般的なビニールクロス材よりも頑丈で傷がつきにくいうえ、汚れを拭き取りやすいのもメリットです。リビングやダイニング、キッチンやトイレなどの水回り、子ども部屋から玄関までさまざまな空間で採用されています。ビニールクロスは経年劣化によって汚れてくるため、10年ほどの周期で張り替えが必要ですが、安価で施工性も高いのでトータルのコストはおさえられると思います。

そのほか、ビニールクロスはさまざまな機能性を備えたものが各メーカーから販売されています。掃除のしやすさのほかに重視したいポイントがある場合、それぞれの空間の用途によって使い分けるのもよいでしょう。

ビニールクロスのタイプ おすすめの場所
撥水 洗面室、キッチン、トイレ、玄関
消臭・抗菌 トイレ、玄関、リビング、ダイニング、キッチン、寝室
吸放湿 玄関、廊下、洗面室、トイレ、ファミリークローゼット、和室
抗ウイルス・抗アレルギー リビング、寝室、子ども部屋

掃除がしやすくなる内壁材②「サニタリーパネル」「キッチンパネル」のメリット・デメリット

掃除がしやすくなる内壁材「サニタリーパネル」

水回りに使用することを目的とした化粧パネルが「パネル内壁材」で、使う場所によって「サニタリーパネル」や「キッチンパネル」と呼ばれることもあります。耐水性や防臭性に優れ、表面がつるつるしているので臭いがつきにくく、汚れがついても簡単に拭き取れるのがメリット。トイレやキッチンなどの臭いと汚れがつきやすい場所に採用されます。キッチンのコンロ周辺は火を使う場所であることから不燃材を使うことが法律で定められているため、キッチンパネルは不燃材であるものも多く、熱に強いこともメリットのひとつです。タイルなどに比べて目地が少なく、調味料の汚れや油なども簡単に落ちるので、掃除しやすい素材だといえるでしょう。

キッチンの使い勝手を重視したい場合、とくにおすすめなのが「ホーロー製」のキッチンパネルです。ホーロー製は金属にガラスコーティングが施されているので、耐久性があって磁石がつけられるのも便利なポイント。マグネット式のフックや棚を設置して調理器具を収納したり、レシピのメモなどを貼ったりと、キッチンに採用すると重宝します。また、「メラミン化粧板」を使ったキッチンパネルやサニタリーパネルは、木目調や大理石調などおしゃれなデザインが豊富で、好みのものを選びやすいですよ。

【おまけ】掃除しにくい床材と内壁材は?

掃除しにくい床材は「無垢材」

掃除しにくい床材は「無垢材」です。100%天然の木材からできていて自然な風合いが魅力ですが、掃除の面ではデメリットが多い素材でもあります。水に弱いので水拭きは慎重にしないといけませんし、傷がつきやすいので日常生活でものを落としたり、ぶつけたりしないように注意しなければなりません。

内壁材では、「珪藻土」や「漆喰」が掃除しにくい素材として挙げられます。静電気が起こりづらいので、ほこりがつくことは少ないのですが、一度汚れがつくと落ちにくく、メンテナンスも難しい素材です。アレルギー予防のために子ども部屋の壁を珪藻土にした住宅で、お子さまが壁につけてしまった絵の具汚れがどうしても取れず、塗り直しになったケースもありました。

どちらも自然素材を使ったもので調湿効果や消臭効果に優れているのですが、近年の24時間換気システムなどの性能は非常に高く、内壁材の効果に頼らなくてもほとんど問題ありません。掃除のしにくさを考慮すると、珪藻土や漆喰を採用するのはあまりおすすめできません。

3. 掃除がしやすくなる新築やリフォーム時の工夫~ロボット掃除機をフル活用できる間取りと設備

ロボット掃除機をフル活用できる間取り

ロボット掃除機は掃除の手間を大幅に軽減してくれるので、より活躍できるような間取りや家具も検討してみましょう。まずは動きやすいように段差や扉を少なくします。収納家具はあとから設置するとロボット掃除機が入れないデッドスペースが生まれやすいので、造り付け収納を採用するのがおすすめ。家ができあがってから設置するソファなどの家具は、脚が長いものを選びます。脚の高さが床から15センチほどあれば、ロボット掃除機がスムーズに移動できますよ。ダイニングの椅子は軽い素材のものを用意しましょう。ロボット掃除機を動かす際はテーブルの上に上げて、ロボット掃除機がテーブルの下を掃除できるようにします。

リビング収納につくったロボット掃除機の基地

また、造り付けのリビング収納にロボット掃除機が収まるスペースをつくり、そこにコンセントも設置して、ロボット掃除機を隠せる基地にしましょう。リビングがすっきりとした印象になります。同じ収納にスティック掃除機をかけられるスタンドも用意しておくと、ロボット掃除機がきれいにできなかった部分を手軽に掃除できるようになりますね。

以上の工夫でほとんどの床はロボット掃除機に任せられるようになりますが、天井には使えませんので、できるだけ掃除の手間が減らせるライトを選ぶのも重要です。ペンダントライトは傘にほこりがたまりやすいので避けるのが無難ですし、シーリングライトもカバーに虫やほこりが入り込むため掃除が手間になります。おすすめなのはLEDのダウンライト。天井に埋め込まれているので汚れにくく、掃除の頻度は1年に一度くらいで済むので、負担を大きく減らせますよ。

4. まとめ

掃除がしやすい床材として「複合フローリング」「フロアタイル」「クッションフロア」、内壁材には「ビニールクロス」「サニタリーパネル・キッチンパネル」が挙げられます。それぞれの素材のメリット・デメリットを考慮し、適切な場所に採用してください。また、日々の掃除の強い味方であるロボット掃除機が活躍できる間取りや設備を整えることも重要です。新築のマイホームをずっときれいで快適な状態に保てるよう、掃除のしやすさを意識した家づくりをご検討ください。

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