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2024.07.01

専門家監修!千葉で災害に強いエリアはどこ?ハザードマップだけではわからない情報を紹介

千葉県 江戸川から矢切付近の上空 何もわからないから始める千葉でのマイホーム探し 後悔しない住まい探しのための10個のチェックポイント

都心へのアクセスが良い千葉県ですが、東京湾と太平洋によって三方を海で囲まれ、利根川や江戸川などの大規模な河川を有する自然豊かな県でもあります。 自然に溢れる県で居住地を選ぶ際は、災害のリスクを想定した土地選びが重要です。

代表的な災害リスクの発生条件や特徴とともに、千葉県の災害に強いエリア選びを説明します。また、県の災害に対する取組みもあわせてご紹介します。

地震に強い地域の特徴

傾いた家

地震がもたらす被害は、揺れによる建物倒壊や火災、液状化現象、津波、土砂崩れなど、多岐にわたります。
本記事では、地震の揺れそのもののリスクと液状化現象のリスク、津波のリスクに影響されづらい地域の特徴を紹介します。

耐震性が強い地域

揺れに強い地域とは「地盤が固い」地域です。地盤とは、建物などの構造物を支える基礎となる土地であり、自然にできた地盤と人工的にできた地盤に分けられます。
自然にできた地盤は、地盤の固さで第一種から第三種までに分類されており、人工的にできた地盤は、表面が削られたり、盛土や埋め立てられた土地を指します。

固い地盤とは、岩盤や小石などの砂礫を多く含む、密度の高い地盤です。一方でやわらかい地盤とは、泥や水を多く含んだ密度の低い砂で構成された地盤や盛り土、埋め立てられた土地を指します。
地震の揺れは、固い地盤からやわらかい地盤に伝わる際に大きくなるため、地盤がやわらかい地域は揺れが大きくなるリスクが高くなります。なるべく地盤が固く安定した地盤の地域が推奨されます。

液状化現象が発生しづらい地域

そもそも液状化現象とは、かみ合ってバランスをとっていた土の粒子が低周波の地震の揺れによって水と分離され、地盤がドロドロの液体のような状態になってしまう現象を指します。

液状化現象は、地盤がやわらかく、地下2~3mに砂の層が存在し、その砂の層が地下水で満たされている土地で発生しやすいです。
したがって、粘性土地盤や砂礫地盤などの砂を多く含まない地質の土地や、水分量が少ない土地の選択により、液状化現象のリスクは回避できます。

津波が発生しづらい地域

外房の沿岸部で標高が低い地域は津波による浸水のリスクが高いため、標高が高い地域や内房であれば津波のリスクが少なくなります。

ただし、津波が川を遡って川の上流部で氾濫する「河川津波」となることもあるため内陸部でも被害が発生する場合があります。
海側からの出水だけではなく、川の上流部側から避難経路を遮断することもあるため、周辺の河川と避難所の位置避難ルートの確認も事前に行うことが推奨されます。

気象庁が発する津波の波高予測の精度は1/2から2倍、遡上高は津波の波高の3倍から4倍と言われています。
また、沿岸部に住む場合は、気圧や潮位、風向や地形などによって津波の高さが増幅されることもあるため注意が必要です。

洪水に強い地域の特徴

救助を待つ親子

気象庁によると、地球温暖化の影響により日本の大雨の年間発生回数は年々増加し、より強度のある雨ほど増加率が大きくなっています。
したがって、大雨に伴って発生する水害のリスクに注意が必要です。

気象庁 | 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html

洪水のリスクから根本的に逃れるためには、その土地の過去の歴史から学ぶ必要があります。各地方自治体が発行する「地域防災計画」や「ハザードマップ」などを参考にしましょう。
地域の地名や字名に水を連想する漢字や言葉などが使われていることも多くあります。過去の地形や用途も水に関連しない土地を選ぶと、浸水リスクは下がります。
また水辺の周辺であっても、近くの海や川、近隣地域などと比べて標高が高い地域は、洪水によって浸水しづらいです。

千葉県で災害に強いエリアは?

千葉県

上記をふまえ、千葉県のエリア別に地震リスク、洪水リスクを説明します。

千葉県のエリア別地震リスク

千葉県において地震に強い地域は、下総台地上にある地域と言われています。下総台地は千葉県北部に位置し、標高が20mから50mの丘陵地帯であり、富士山や箱根の山々からの火山灰が堆積した「関東ローム層」で形成された強固な地盤です。したがって、地震の揺れに強く、津波による被害が起きにくい地域だと言えます。

千葉県のエリア別地震リスク

(2 かたち(地形) | 市川市公式Webサイト https://www.city.ichikawa.lg.jp/edu16/0000402080.html

一方で東京湾沿岸部は、砂質で水分を多く含み、地盤がやわらかい埋立地が広がり、液状化現象発生のリスクが高い地域と言えます。
また東日本大震災でも被害を受けた、九十九里浜の沿岸部でも津波のリスクを想定する必要があります。
千葉県中部の養老川・小櫃川・小糸川等の河川流域付近は河川による沖積層が分布している地域が多いため住宅地としての利用には、地盤対策などの注意が必要です。

千葉県のエリア別洪水リスク

千葉県が設置する「千葉県大規模氾濫に関する減災対策協議会」によると、千葉県の河川は次の5つに分割できます。

  • 利根川圏域
  • 江戸川圏域
  • 東京湾圏域
  • 九十九里圏域
  • 房総圏域
千葉県のエリア別洪水リスク

(千葉県大規模氾濫に関する減災対策協議会|千葉県の大規模氾濫に関する地域の取組方針 https://www.pref.chiba.lg.jp/kakan/gensaitaisaku/documents/05-06-torikumihoushin.pdf

それぞれの圏域について、国土地理院が提供する「重ねるハザードマップ」を参照し、洪水による浸水リスクを説明します。

利根川圏域
利根川圏域では、銚子市、成田市、佐倉市、柏市、我孫子市、四街道市、印西市、白井市、富里市、香取市、八街市、酒々井町、栄町、神崎町、多古町、東庄町、芝山町の11市6町が関係しています。
この圏域では、利根川沿岸や印旛沼の周辺で氾濫のリスクが想定され、5.0m~10mの浸水が広域にわたって予測されています。

江戸川圏域
江戸川圏域では、市川市、船橋市、松戸市、野田市、流山市、鎌ケ谷市、浦安市の7市が関係しています。
この地域では、江戸川沿いの一部の地域で5.0m~10mの浸水が予測されています。

東京湾圏域
東京湾圏域では、千葉市、習志野市、八千代市、君津市、木更津市、富津市、袖ケ浦市、市原市の8市が関係しています。
この地域では、小櫃川、養老川の上流部沿岸での氾濫のリスクがあり、5.0m~10mの浸水高が予測されているエリアがあります。

九十九里圏域
匝瑳市、旭市、東金市、大網白里市、山武市、茂原市、横芝光町、九十九里町、一宮町、白子町、睦沢町、長南町、長柄町、長生村の6市7町1村が関係しています。
この圏域の海岸部の平坦地では3.0m程度の津波浸水高が予測されています。

房総圏域
いすみ市、勝浦市、館山市、南房総市、鴨川市、御宿町、大多喜町、鋸南町の5市3町が関係しています。
この圏域は山岳地域で、地表が侵食されて多くの谷が形成されています。一部の河川の合流部などでは氾濫のリスクが想定されています。
また、夷隅側沿岸の一部の地域では津波による浸水が想定されていますが圏域全体としては浸水のリスクが低い地域となっています。

国土地理院|重ねるハザードマップ
https://disaportal.gsi.go.jp/maps/index.html?ll=35.310643,140.245972&z=8&base=pale&vs=c1j0l0u0t0h0z0

千葉県の災害に対する取組み

千葉県 九十九里沿岸の海岸津波対策

千葉県は、自助・共助・公助による「防災県」の確立に向けた取組みを実施しています。「自助」では、地域と連携した防災訓練や、防災教育の副読本の作成により、 一人ひとりの防災力の向上を目指しており、「共助」では、千葉県災害対策コーディネーターの育成、地域コミュニティの防災力強化、消防団の活性化等の取組みへの支援が行われています。
「公助」では、災害時の人命救助や被災者支援を掲げており、ハード対策、ソフト対策を進めています。

千葉県|災害に強い「防災県」の確立
https://www.pref.chiba.lg.jp/jinji/ninyou/saiyoushiken/shisaku-page1.html

また千葉県の津波対策として、東日本大震災でも甚大な被害が及んだ、九十九里浜沿岸部のかさ上げを紹介します。海岸津波対策事業として、九十九里浜の海岸堤防と保安林の砂丘、九十九里有料道路のかさ上げを実施しています。
また、閉鎖時に堤防としての役割を果たす、河口部のゲートである「陸閘」(りくこう)を設け、津波警報を受信すると自動で閉鎖するシステムの運用が開始されています。

千葉県|九十九里沿岸の海岸津波対策
https://www.pref.chiba.lg.jp/kasei/keikaku/kendoseibi/kaiganhozen/kujyuukuri/tsunamitaisaku.html

千葉県|陸閘・樋門自動閉鎖システムについて
https://www.pref.chiba.lg.jp/kasei/kaigan/gateautoclosesystem2021.html

災害が起きやすいとされる地域に住む心得

作業員2人

ここまで、地震の揺れや液状化現象、洪水に強い地域の特徴を説明しましたが、地震大国・水害大国の日本に住む限り、どの地域に住んだとしても災害発生の可能性は否定できません。
特に、特定の災害が発生する可能性が高い地域に住んでいる場合、事前準備や情報の把握は災害対策として重要です。

たとえば地盤が弱い地域では、地震は突然やってきます。地盤の強化、家屋の耐震性の強化とともに、家具の固定もしっかりしておきましょう。
河川の近くや低地の場合、台風や大雨などで浸水被害土砂崩れなどが発生する可能性がある場合の気象情報は1週間くらい前から知ることができますので対策を怠らずに実行しましょう。

特定の災害が起きやすいとされる地域には必ず理由があります。ハザードマップでの確認や、不動産の取引時にはリスクの説明責任があるので、現地を歩いてその内容を理解し納得することが不可欠です。不安があれば長年地域で暮らす住民に話を聞いて対策を立てましょう。
近年では、過去になかった気象災害が発生していますので安全と思われている地域でも注意を怠らないようにしましょう。

地域の災害情報のチェックも欠かさずに。わからないときは専門家に相談しましょう

居住地として検討するエリアが抱える災害リスクや、講じるべき災害対策を理解するためには、地図やハザードマップから読みとれる情報だけでは不十分な場合があります。
より正確で詳細な情報を知りたい場合は、専門家に相談してみましょう。

「ちばの住まいコンシェルジュ」では、千葉県内のエリアごとの特徴や地域の情報をお伝えしながらマイホーム購入のお手伝いをいたします。お気軽にご予約ください。

ちばの住まいコンシェルジュ
白尾克伸(NPO法人ゆかいな仲間たち 理事長)
白尾克伸

NPO法人ゆかいな仲間たち 理事長
千葉県災害対策コーディネーター連絡会 会長

1955年生まれ。災害発生時に、以下の支援を実施。

  • 1995年の阪神・淡路大震災時には、全域の建物の被災状況の地図データ化
  • 2007年能登半島沖地震では、石川県輪島市の災害ボランティア
  • 2011年の東日本大震災では、千葉県に協力して旭市や宮城県名取市の災害ボランティア

平常時は、千葉県が進める「千葉県災害対策コーディネーター養成講座」を各市町村で開催し、1800人を超える認定者が誕生した。
現在は、講座を修了した認定者の有志で構成する「千葉県災害対策コーディネーター連絡会」の会長。いつの間にか、防災活動を始めてから29年になる。活動母体は、NPO法人ゆかいな仲間たちの理事長。千葉県内各地で防災研修や講演などを行い、市民による地域防災力向上に寄与している。
2018年からは、休耕地を活用した野菜の栽培を行いながら食料自給率向上を目指している。

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