2019年2月4日(月)、千葉銀行は「農業参入セミナー~農業へ参入するときに知っておくべきポイント!~」を開催いたしました。当日は、94名ものお客さまにご出席をいただき、改めて農業への注目度の高さを感じました。ご登壇いただいた講師の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
今回は、当日のセミナーの様子をご紹介いたします。
目次
項目 | 内容 |
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セミナー名称 | 農業参入セミナー ~農業へ参入するときに知っておくべきポイント!~ |
日時 | 2019年2月4日(月) 14:00~17:00 |
会場 | 千葉銀行 本店 中会議室 |
主催 | 株式会社千葉銀行 |
後援 | 千葉県、千葉市 |
内容 |
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開催時刻を前に会場は満席に。注目度の高さが伺えます。
開講にあたり、千葉銀行法人営業部長の植松よりご挨拶。
続いて来賓としてご出席いただいた千葉県農林水産部次長の石家様より「千葉県は大消費地である東京に近く比較的温暖な気候で恵まれているとも言われますが、千葉県においても耕作放棄地の増加や農業従事者の高齢化などが問題となっている。千葉県としても千葉県農業への参入を心から期待しています。」とご挨拶を頂戴しました。
野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社 取締役 伊地知 様と、野村ファーム北海道株式会社 取締役社長 中沢 様より「異業種から参入した経験を踏まえて」と題し基調講演をいただきました。
- 野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社は「アグリビジネスを軸に、地域活性化を通じて、日本経済の発展に貢献する」ことをミッションとしており、様々な調査・コンサルティング事業に取り組んでいるほか、生産事業として実際に農業法人を設立し農業に参入する取り組みも行っていらっしゃいます。
はじめに伊地知様より日本の農業の現状と可能性について以下の通り解説いただきました。
- 2009年の340兆円だった世界の食市場は、中国やインドの急成長により2020年には680兆円まで拡大すると予測されている。
- 日本国内においても、内食、中食(惣菜)、外食も増加傾向にあるほか、国産野菜にこだわり成功している外食チェーンもあり、国内農業に対する需要はある。
- このように日本の農業にとって追い風が吹いている状況であるが、日本の農業就業人口は減少し平均年齢も高齢化、耕作放棄地も増加している。
次に、野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社が生産事業の一環として設立した、農業法人野村ファーム北海道株式会社の取り組みについて、同社取締役社長の中沢様よりご説明いただきました。
中沢様は野村證券での28年間の営業経験を経て、公募に手を挙げ野村ファーム北海道株式会社の社長に就任されたとのことで、台風などの天候の問題、従業員や指導者の高齢化の問題、販路拡大や6次産業化に取り組み黒字化に至った経緯など、農業の経験が全くない中で直面した様々な苦労や経験についてお話をいただきました。
伊地知様に再びご登壇いただき、異業種からの農業参入についてお話いただきました。
ポイントは以下の通りです。
- 異業種からの農業参入は確実に増加。農業従事者同士による法人化の動きも加速。
- 他業種ではすでに一般的な経営手法が、農業にも導入され始めており、日本のアグリビジネスは黎明期にある。
- 異業種による農業参入が活発になったのは、1980年以降で3度目だが、過去とは異なる様相となっている。
上場企業によるアグリビジネスへの参入も本格化しており、今後さらなる参入も期待されるとのこと。
最後に成功する農業参入企業の共通点をご紹介いただきました。全て満たす必要はありませんが参考にしてほしいとのことでした。
- 事業ビジョンが明確であること
- 事業領域が明確であること
- 関係者との連携(産地、食のサプライチェーン、他産業、行政等)に取り組んでいること
- 事業上の戦略パートナーがいること
- 事業モデルが入念に練られていること
- 競合が少ない生産品目やニッチ分野へ取り組んでいること
- 損益分岐点が低いこと
続いて、千葉市経済農政局 農政部長の加瀬様にご登壇いただき、千葉市の農業の現況や参入支援策についてご紹介いただきました。
千葉市は温暖な気候に恵まれた安定した農業環境で、大消費地に隣接するため優位な条件であるが、市内農業産出額はここ10年で1割強減少し、市内農家も年々減少しているとのことです。
高齢化も進み担い手が不足しているが、新たな担い手として法人の新規参入が年々増加しており、平成29年度末時点で累計27件の参入があったとのこと。「まだまだ少ないが参入の余地が多くあるとも言える」と、参入支援に力を入れていく姿勢をお話いただきました。
続いて、具体的な参入支援策についてご紹介をいただきました。
農政センターの取り組み
新規就農希望者研修
農業の担い手を確保・育成するため、基礎知識や農業技術(実習)の研修を実施。 奨励金制度あり。
優良種苗の供給
選抜された優良系統の個体をバイオテクノロジー技術を用いてウイルスフリー(ウイルスにまったく感染していない状態)化し、安定的に農家に供給。
現場の課題を解決するための栽培試験
現場で課題となっている病害虫への対策として、耐病性のある優良な品種等を検討するため、トマトやイチゴの品種比較試験を実施。
スマート農業実現に向けた実証実験
ICTの導入やドローンの活用、アシストスーツの導入に関する実証実験の実施など。
千葉市の農業参入メニュー
千葉市では参入相談から参入後の販路拡大まで、きめ細かい様々なメニューで参入支援を行なっており、平成31年度には各種支援制度の創設も予定しているとのお話で、ぜひお気軽に相談してほしいとのことでした。
次に、千葉銀行が千葉県内の複数の企業と共同で設立した「株式会社フレッシュファームちば」で、実際に農作業に従事している竹内より法人設立から耕作までの経験談を紹介させていただきました。
- ※「株式会社フレッシュファームちば」とは、千葉県における農業の担い手減少や、農業従事者の高齢化を背景とした耕作放棄地の増加が問題となる中、地域農業の発展と地域経済の活性化に向け千葉銀行の新たな取り組みとして2018年3月に設立した農業法人です。
設立にあたっては、価格リスクや生産リスクなどの事業リスクについて調査し、様々な対策を検討いたしました。
また、具体的な耕作地選定にあたっては、県内各地の農業事務所等にヒアリングを進め、千葉県における耕作地の特徴について詳細にまとめ、当社の事業計画に合う耕作地を決定しております。セミナー当日には、その具体的な検討資料についてもご紹介させていただきました。ご興味のある方は千葉銀行法人営業部成長ビジネスサポート室までお問い合わせください。
「設立までに入念に計画を立ててはいたが、想定していたよりも農作業は大変だった」と話す竹内。イノシシや害虫への対策や草刈り作業など、想定はしていたが実際に直面してみないとわからないことが多かったとのことです。
初年度は目標としてきた「無事収穫できること」を達成し、来年度以降は6次産業化や販路拡大などの取り組みを行っていきたいと意気込みを語りました。
フレッシュファームちばの田植えの様子については、こちらの記事にまとめておりますので、ぜひご覧ください。
千葉銀行法人営業部成長ビジネスサポート室での業務も兼務し、銀行員としての顔ももつ竹内。千葉銀行の農業向けサポートメニューについても以下の通り紹介させていただきました。
実際に農業法人を設立した経験を踏まえた実践的なサポートが可能ですので、参入をご検討の際は、ぜひご相談ください。
事業資金のサポート(専用ローン)
販路開拓のサポート
- 地方銀行フードセレクション
- FOODEX JAPAN
- 海外向け販路
- 個別商談会
- 商談会シート作成支援
- 直販に伴う諸問題の解決など
農商工連携事業に関する取り組みのサポート
- 農商工連携事業等申請書の作成支援
- 大学等専門機関との連携による新商品開発サポート
- 各種セミナーの開催
- 農地所有適格法人設立支援
- 植物工場事業におけるコスト削減研究など
6次産業化事業支援・各種助成活用
- 事業計画の作成支援
- 資金調達計画のサポート
- JGAP認証制度の活用支援など
最後に千葉県農林水産部担い手支援課 経営体育成班 副主査の青木様より、千葉県の参入支援策についてご紹介いただきました。
相談対応
相談窓口を設け、農業参入に意欲ある企業に対し、各種制度の概要等について情報提供を実施しています。
補助事業(国庫・県単)
企業が農業参入により農業者(農地所有適格法人や認定農業者)となった場合、国・県が実施する補助事業の対象となる場合があります。
融資制度
農業参入するにあたり、施設や機械の整備に必要となる資金や運転資金について、農業制度資金を利用できる場合があります。
企業向け農地情報の提供(農地中間管理機構)
企業に貸すことのできる県内の農地情報を収集し、公益社団法人千葉県園芸協会(千葉県農地中間管理機構)のホームページ上で紹介。
いかがでしたでしょうか。当日はセミナー終了後も講師への質問や具体的なご相談も多くあり、活気に溢れていました。千葉県や千葉市はもちろん、千葉銀行も農業参入を積極的に支援しています。農業参入にご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談いただけたらと思います。
千葉銀行法人営業部成長ビジネスサポート室
農業担当 TEL:043-301-8248
Mail:agri@chibabank.co.jp