
自動車にはどれくらい税金がかかるのか、いつまでに納付して、どう節税するのか、自分にあった支払い方法は何だろうか、マイカーを持つ人なら誰しも考えたことがあるのではないでしょうか。
今回はそんな疑問に答えるべく、分かったようで分からなかった「自動車税」について明らかにしていきます。
目次
1.そもそも自動車税とは
1-1.自動車の保有にかかる税金
自動車には計5種類の税金が課されますが、まずは自動車を保有していることで課せられる3つの税金の違いを見ていきましょう。
「自動車税(種別割)」とは、自動車の車検証上の所有者に対して毎年4月1日時点で課せられる地方税のことを指します。税額は排気量、用途、積載量そして乗車定員によって決定されます。用途とは自家用か営業用か、乗用か貨物用かといったことですね。税額の詳細は後述します。
「軽自動車税(種別割)」ですが、概ね自動車税と同じです。唯一異なる点は納付先が都道府県ではなく、住民票がある市区町村だということです。特徴としては、三輪、四輪以上の軽自動車では総排気量によらず税額が一律であることです。
「自動車重量税」は、車検の際や新車の新規登録の際に、車重に応じて0.5トン刻みで課される国税です。よく聞くエコカー減税が適用されるのもこの税金です。
1−2.自動車の購入にかかる税金
次に自動車を購入することで課される2つの税金として、「消費税」と「環境性能割」が挙げられます。
「環境性能割」とは2019年10月1日の消費税率の引き上げに際して「自動車取得税」が廃止されたことで代わりに導入された税金で、新車か中古車か問わず自動車の燃費性能に応じて、車両の購入金額に対して課税されます。例えば燃料電池や電気で動く自動車、プラグインハイブリッドやグリーンディーゼルの自動車が非課税となっています。
このように自動車には購入段階と保有段階で様々な税金が課されますが、ここからは最も一般的な自家用乗用車にかかる自動車税・軽自動車税について掘り下げていきましょう。
納付先 | 課税時期 | 税額を決める主な要因 | |
---|---|---|---|
自動車税 | 都道府県 | 毎年4月1日 | 排気量・用途 |
軽自動車税 | 市区町村 | 毎年4月1日 | 用途・(総排気量) |
自動車重量税 | 国 | 車検や新規登録の時 | 重量・用途 |
消費税 | 国、地方 | 取得時 | 取得価額 |
環境性能割 | 都道府県 | 取得時 | 燃費性能・取得価額 |
2.自動車税額ってどうやってきまるの?
2-1.基本納付額は排気量と用途で決まる
新車登録が2019年10月1日以降の自家用乗用車の場合、最低納付額は排気量1リットル以下で年額25,000円、1リットルを超えると0.5リットル毎に税額が上がり、最大納付額は6リットル超の年額110,000円となっています。自家用軽自動車の場合は、新規登録日や排気量による違いはなく一律で10,800円です。
この2019年(令和元年)10月1日というのは消費税率が10%に引き上げられた日であり、これを境に自動車税の税額は恒久的な減額が行われています。排気量が少ない小型車ほど自動車税の減少幅は大きく、最大で4,500円ほど基本納付額が異なります。
車種 | 排気量 | 購入日・税額 | 減額幅 | |
---|---|---|---|---|
2019年(令和元年) 9月30日以前 |
2019年(令和元年) 10月1日以降 |
|||
自家用乗用車 | 1リットル以下 | 29,500円 | 25,000円 | 4,500円 |
1リットル超~1.5リットル以下 | 34,500円 | 30,500円 | 4,000円 | |
1.5リットル超~2リットル以下 | 39,500円 | 36,000円 | 3,500円 | |
2リットル超~2.5リットル以下 | 45,500円 | 43,500円 | 1,500円 | |
2.5リットル超~3リットル以下 | 51,000円 | 50,000円 | 1,000円 | |
3リットル超~3.5リットル以下 | 58,000円 | 57,000円 | 1,000円 | |
3.5リットル超~4リットル以下 | 66,500円 | 65,500円 | 1,000円 | |
4リットル超~4.5リットル以下 | 76,500円 | 75,500円 | 1,000円 | |
4.5リットル超~6リットル以下 | 88,000円 | 87,000円 | 1,000円 | |
6リットル超 | 111,000円 | 110,000円 | 1,000円 | |
自家用軽自動車 | 一律 | 10,800円 | 10,800円 | 0円 |
2-2.グリーン化特例による重課・軽課
ここまで基本の納付額を見てきましたが、それではどうすれば自動車税を減税でき、また、どういった場合に通常より多く課税されてしまうのでしょうか。キーワードは「グリーン化特例」です。
「グリーン化特例」とは、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などの有害物質の排出を抑え、かつ燃費性能の優れる環境に配慮したエコカーに対して、新車登録した翌年度の自動車税及び軽自動車税を軽減する制度です。「エコカー減税」とは異なる税制ですので注意してください。
2023年3月31日までに新車登録した電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車について、初回の課税が概ね75%減免されます。軽自動車の場合は要件が異なりますので詳しくは国土交通省のホームページをご参照ください。
対象となる自家用乗用車 | 特例措置 |
---|---|
|
概ね75%軽課 |
燃費性能や排ガスの基準を達成した車の自動車税が減免される措置をとる一方で、新車登録後一定期間が経過し環境負荷が大きくなった自動車に対しては税の負担が重くなるようにもなっており、ガソリン車、LPG(液化石油ガス)車では13年、ディーゼル車では11年を超えると概ね15%余計に課税されてしまいます。ハイブリッド車は重課の対象とはなっていません。指定期間に達する前に車を買い替えることで、維持費用を低減できるでしょう。
対象となる自家用乗用車 | 特例措置 |
---|---|
|
概ね15%重課 |

3.誰でも実践できる税金対策
3-1.月初に買って1か月分節税
ここまで「どんな」車を購入すると自動車税・軽自動車税を抑えられるか見てきましたが、それでは「いつ」車を購入売却・廃車するのが適当なのでしょうか。
上述の通り、自動車税は自動車の車検証上の所有者に対して毎年4月1日に課税され、月割りで請求されます。課税対象となるのは車を購入した翌月からですから、月末に車を購入した場合だとすぐに請求判定のタイミングが来てしまいます。従って、少し我慢して月の初めに購入した方が、次の月初まで約1ヵ月分の自動車税がお得になりますね。
また軽自動車税については請求が年単位になるので、4月2日に購入した場合約1年分の節税対策になります。
3-2.売却時は買取業者とよく相談
4月1日時点で賦課された自動車税は、翌年度分の税金を前払いすることになりますが、残念ながら売却時に自動車税が月割で還付されるといったことはありません。しかし買取業者によっては、所有しない期間分の自動車税額を車の査定額に算入して買い取ってくれるケースもありますのでよく相談しましょう。購入する時と同様、4月1日を跨ぐと支払いの義務が生じてしまうため売却の日付には注意が必要です。
3-3.廃車の際は前納分が還付される
自動車を売却した時とは異なり、廃車、抹消登録にした際には前納した3月分までの自動車税が還付されます。抹消登録には、解体・廃車する「永久抹消登録」と、所有者の変更や長期海外出張などで車を一時的に使用不可にする「一時抹消登録」の2種類がありますが、これら抹消登録の手続きにはある程度時間がかかるため、月初の請求判定がこないうちに早めに済ませておくことをおすすめします。またナンバープレートを運輸支局に返却するのを忘れないようにしましょう。還付を受けるための申請等はないため、抹消登録完了後1~2か月後に還付通知書が届くのを待ちましょう。

4.自動車税の納付時期は?
自動車税・軽自動車税は毎年納付する必要がありますが、具体的に納付の時期はいつ頃なのでしょうか。
4-1.納付期限は5月31日
前述の通り、4月1日時点での所有者が1年分を対象として前払いします。納付期限は原則として毎年5月31日となっており、該当の日が土日や祝日の場合は6月上旬まで延長することが可能です。例外的に青森県と秋田県は、納付期限が6月30日まで延長されます。
4-2.納税通知書は5月上旬までに届く
自動車税に関しては都道府県から、軽自動車に関しては市区町村から納税通知書が車検証上の住所に発送され、5月上旬までに郵便で届きます。この時期まで待っても届かない原因として、引越しによる住所変更や購入売却による名義変更が車検証に反映されていないことが考えられます。自動車の場合は新住所を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所、軽自動車の場合は管轄の軽自動車検査協会事務所へ届出・申請するとともに、都道府県の税事務所や市区町村の納税課に問い合わせて納税通知書を再発行してもらいましょう。
納付書を紛失した場合も同様に再発行してもらうか、5月末の支払いまで時間が無ければ、都道府県税事務所や市区町村の納税課で直接納めることも可能です。
4-3.車検での納税証明書の提示が不要に
車検の際に納税証明書の提示が求められたのは昔の話で、国土交通省陸運局と都道府県税事務所がオンラインで納税状況を確かめる「電子確認」が可能になったことで、2015年4月1日より以下の条件を満たすと、車検時の納税証明書の提出が不要になりました。軽自動車や小型二輪自動車の場合は対象外であること、電子確認が導入されていない自治体もあることには注意してください。
- 車検が新規検査ではなく、継続検査である
- 自動車税を滞納していない
- 納税が完了した日から2~4週間程度経過している
新規検査とはナンバープレートがついていない状態で行われる車検のことで、反対に継続検査とはナンバープレートがついた状態で行われる車検を指します。従って新規検査はディーラー側で行うことがほとんどで、車検がきれた中古車を個人で購入した場合や外国で販売されている車を個人で輸入した場合を除いて、私達一般消費者が依頼する車検は基本的に継続検査となります。
また車を売却したり下取りする時、他の都道府県へ引越す時などには納税証明書が必要になることがありますので、車検の際に継続検査用の紙の納税証明書が不要になったからといって捨てたりはせずに、必ず車検証などと一緒に保管しておきましょう。
4-4.もし滞納したら・・・
納付が完了するまでの期間に応じて延滞金が上乗せされてしまいます。1ヵ月以内であれば税納付額に2.5%分が加算され、もしそれ以上滞納をすると最大で8.8%加算されます。督促状が発布されてもなお10日を超えて滞納を続けると、滞納処分として銀行口座などの財産が差し押さえになります。
他にも車検が受けられず道路交通法に抵触する可能性があったり、納税証明書が発行できなかったりします。ですからなるべく滞納は避け、やむを得ない理由がある場合は都道府県の税事務所や市区町村の納税課に相談しましょう。

5.自分に合った支払い方法を見つける
自動車税・軽自動車税は現金による支払いが基本となりますが、他にもさまざまな納付方法が導入されています。地域によって可能な方法は異なりますので、自動車税については都道府県、軽自動車税については市区町村のホームページをご覧ください。
現金
最もシンプルな方法です。支払い可能な場所としては、コンビニエンスストア、郵便局、銀行・信託銀行・信用金庫などの金融機関、都道府県の税事務所や市区町村の納税課、自動車税事務所などです。詳しくは納付書の裏面を確認しましょう。
口座振替
納付期限までに自動的に預金口座から納付額が引き落とされ、支払いが完了します。納付し忘れる心配がないため安心ですね。注意点としては、事前に役所や銀行で利用申込みをする必要があることです。通帳や届け出印など申込みに必要なものを準備してから手続きに行きましょう。
クレジットカード
パソコンやスマートフォンからインターネットを利用してキャッシュレスで決済します。ほとんどのクレジット会社が納付に対応しており、利用額に応じてポイントやマイルが貯まる仕様となっているのでお得です。一方でクレジットカードで自動車税を納付すると決済手数料が別途必要になってしまう場合があるので、コストとリターンをよく考えてから納付しましょう。
Pay-easy (ペイジー)
金融機関のATMや、インターネットバンキング・モバイルバンキングを利用して支払いができるマルチペイメントサービスです。こちらも口座振替と同様、予め金融機関で利用申込みをする必要があります。自動車税だけでなく公共料金や国民年金保険料も支払えてとても便利ですが、いずれにせよ納付書にペイジーマークがついており、ペイジーでの支払いに対応していることを確認する必要があります。
スマートフォン決済アプリ
PayPayやd払いに代表されるスマートフォン決済アプリを利用して、納付書のバーコードを読み取るだけで納付が完了します。いつでもどこでも時間と場所を気にせず支払えるのは嬉しいですね。また、クレジットカードと違い手数料がかからないにも関わらず、クレジットカードと同様にポイントやボーナスが付与されるので良いことばかりです。ただ一点、領収書や納税証明書が発行がされないことには注意してください。
まとめ
このサイトを通してぜひとも覚えて欲しいことは以下の3つです。
- 環境負荷の低い自動車ほど自動車税の納付額が小さくなる。
- 納付期限は5月31日。4月1日の課税判定に注意して売買する。
- 現金での納付もいいが、いつでもどこでもキャッシュレスで支払える方法もある。
税金を理解し対策することで、皆さんが快適なマイカーライフを送れることを祈っております。