ちばぎん海外ニュース ~タイの越境EC市場について~

1.急速に成長するタイのEC市場

タイは、東南アジアにおけるデジタル先進国の一つとして位置づけられ、インターネット普及率は約88%(日本は約85%)に達し、スマートトフォンの保有者も増加傾向にあります。タイのEC市場規模は、2020年の約17兆円から2023年には約27兆円に成長しており、今後も拡大すると予想されています。

成長の背景には、「ライブコマース」による販促活動の普及も寄与しており、インフルエンサーなどがECサイト内でライブ配信を行い、リアルタイムで製品紹介をすることで、若年層を中心とした消費者の購買意欲向上に繋がっています。

出所:Adobe Stock

2.日本にも開かれた越境ECプラットフォームと物流体制

タイのEC市場ではECプラットフォームが多く利用されています。特にShopeeやLazadaなどのプラットフォームでは、日本企業向けの支援体制が充実しており、言語や決済システム、配送など全面的なサポートを提供しています。

また物流面では、DHLなどの国際物流サービスや、Grabなどによる国内配送サービスが発達しており、迅速かつ効率的な配送体制が整っています。一部のECプラットフォームでは、自社倉庫の保有や複数の物流パートナーと提携し、海外配送・通関・追跡を一気通貫で行う「物流代行サービス」を提供しており、消費者の利便性も格段に向上しています。

出所:Adobe Stock

3.「本物」志向のタイ人増加で広がるチャンス

タイは親日国としても知られ、ECプラットフォーム内では数多くの日本製品が販売されており、中には伝統工芸品などの商品も含まれています。

「お手玉」や「重ね箱」などが販売され、これらの商品は日本からタイの消費者へ直接届けられています。

近年では訪日タイ人が訪タイ日本人の数を上回り、2024年には114万人を超えるなど、日本を訪れた経験を持つことで日本製の「本物」を求めるタイ人消費者が増加しています。

<参考>
お手玉 482THB(約2,200円)

出所:JNTO・TAT統計より筆者作成

4.魅力的なタイ市場への参入に向けて

越境ECは、市場の成長スピードや、初期投資を抑えて販売網を広げることができることなど、魅力的な点が多く、日本の事業者さまが販路を拡大するための有力な手段となり得ます。

一方で、越境で必要となる国際配送料や関税、販売手数料などを商品価格に加味せざるを得ないため、求められる商品や価格の調査が重要なポイントとなります。

バンコク駐在員事務所では、タイや周辺国への販路拡大を検討される事業者さまに対し、現地の市場調査や各種専門家の紹介、資金調達の支援など幅広くサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

  • 本レポートの内容につきましては、当行の信頼し得る先からの情報に基づいて作成しておりますが、その正確性、信頼性を保証するものではありません。具体的に法律上、会計上、税務上の助言を必要とされる場合は、それぞれの専門家にご相談くださいますようお願い致します。