2025.10.31 更新
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省エネ住宅とは?メリットと留意点、国が定める基準と補助金を紹介
気候変動などの課題に対応するため、2030年までに達成を目指す国際目標「SDGs」や、温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引いて実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に向け、住宅分野においてもさまざまな制度の改正が行われています。なかでも、特に大きな変化の1つが、2022年に行われた「建築物省エネ法の改正」です。 法改正によって、2025年4月からは全ての新築物件に省エネ基準への適合が義務付けられます。今回は省エネ住宅の基本的な仕組みや特徴、国が定めている基準、活用できる補助金などをまとめてご紹介します。
1. 省エネ住宅とは
省エネ住宅とは、その名の通り十分な省エネ性能を持った住宅のことです。しかし、単に省エネ性が高い住宅を指すわけではなく、認定されるためには一定の基準を満たさなければなりません。 ここでは、省エネ住宅の基本的な仕組みや基準について見ていきましょう。
1-1.省エネ住宅の概要
経済産業省によれば、省エネ住宅とはエネルギー消費を抑えつつ、快適な住空間を実現できる住宅であるとされています。正式には「省エネルギー住宅」と呼ばれ、国によって定められた基準をクリアした住宅のみが該当します。 もともとは努力義務とされていましたが、法改正から一定期間が経過した2025年からは、全ての新築物件において省エネ基準への適合が義務化されました。 そのため、実質的に今後の新設住宅は、一部の例外(政令で定められた10平米以下の小さな建築物など)を除き、全てが省エネ住宅あるいはそれ以上の省エネ性能を持つ住宅となります。
1-2.省エネルギー基準と住宅性能表示制度
住宅における省エネルギー基準は、主に「断熱性能」のことを指しています。家庭のエネルギー消費のうち、約30%もの大きな割合を占めているのは冷暖房であり、まずは冷暖房効率の高い家づくりが重要なポイントとされています。 そのためには断熱性能を高め、「室外の空気が侵入しない」「室内の熱を逃がさない」状態を保ち、冷暖房を過度に使わなくても快適な空間が維持されるようにしなければなりません。そこで、省エネ住宅の基準は、「断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上」と定められています。 「断熱等性能等級」とは、「住宅性能表示制度」によって設けられた基準の1つです。住宅性能表示制度とは、住宅性能を客観的に評価するための仕組みであり、耐震性や耐火性、耐久性などの10種類の分野について具体的な基準が設定されているのが特徴です。 断熱等性能等級は、「UA値(外皮平均熱貫流率)」と「ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)」という数値で定義されています。具体的な数値は地域の区分によっても異なりますが、等級4は2022年3月までの最高等級に該当し、高度な断熱性能を持っていることを意味します。 また、一次エネルギー消費量とは、「冷暖房、換気、照明、給湯、その他設備」の5つの消費エネルギーの総量のことです。等級4以上とは「BEIが1.0以下(※)」である状態を指し、少なくとも標準的な性能を持つ住宅のエネルギー消費量と同等か、それ以下であることが条件となります。
※BEI…国が定めるエネルギー消費量の基準値を1とした際に、当該建築物のエネルギー消費量がいくつになるかを示したもの
1-3.認定長期優良住宅との関係
省エネ基準は、「長期優良住宅」の認定条件の1つでもあります。長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で居住できるような性能を持った住まいのことであり、耐久性や耐震性とともに省エネ性も基準とされています。 また、認定されれば、減税や金利の低減といった優遇措置が受けられるのもメリットです。長期優良住宅の省エネに関する認定基準は「断熱等性能等級5以上」とされており、省エネ住宅よりも厳格であるため、設計段階でどの基準を目指すのかを明らかにしておく必要があります。
2. 省エネ住宅にする4つのメリット
2025年からは省エネ基準以上の性能で家を建てることが義務化されていますが、省エネ住宅を実現することは、施主である持ち主自身にもメリットをもたらします。ここでは、省エネ住宅を建てるメリットを4つに分けてご紹介します。
2-1. 快適な住まいを手に入れられる
前述の通り、省エネ住宅を目指すには、住宅全体の断熱性・気密性を高めるのが基本です。その結果、夏は涼しく・冬は暖かい快適な住環境を実現できるのがメリットです。 断熱性・気密性の向上により結露が発生しにくくなるため、建物や建材を劣化から守り、寿命を延ばすことにもつながります。
2-2.ヒートショックの予防につながる
「ヒートショック」とは、急激な温度差によって身体に大きな負担が発生し、死亡や後遺障害といった重篤なリスクを引き起こす恐れのある現象です。脱衣所と浴室との温度差で発生する事例が広く知られていますが、実際には室内とトイレなどのちょっとした温度差でも生じています。 断熱性・気密性が高まれば、住まい全体の温度差が少なくなるため、ヒートショックの予防にもつながります。特に高齢者がいる世帯においては、安全を守る重要なポイントにもなるでしょう。
2-3.住宅ローン金利が低くなる
一定以上の省エネ性能をクリアすることで、より有利な金利の住宅ローンを利用できるのもメリットの1つです。例えば、通常のフラット35より金利が低い「フラット35S」では、条件の1つとして省エネ性能が挙げられています。 ただし、利用には省エネ住宅よりもより基準の高い「断熱性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6」が条件となっているので注意が必要です。また、住宅ローン利用者の多くが活用している「住宅ローン減税」も、省エネ住宅であることが1つの条件とされています。
2-4.ランニングコストが抑えられる
省エネ住宅では、冷暖房効率が格段に高まるため、光熱費の削減を図りやすくなるのも特徴です。毎日のランニングコストの低下が期待できるため、長期的な視点で見れば、経済面でもお得な仕組みだといえるでしょう。
3.省エネ住宅の3つの留意点
続いて、省エネ住宅を実現するうえで、理解しておかなければならない留意点も見ていきましょう。
3-1. 初期費用が高くなる場合がある
高気密・高断熱の住宅にするには、従来よりも高度な技術や建材が必要になるため、通常よりも建築コストが高くなる可能性があります。ただし、2025年以降は省エネ基準のクリアが最低基準となるため、他の新築と比べて著しくコストが高くなるといった心配はありません。 また、前述のようにランニングコストが抑えられ、住宅そのものの耐久性も高まるため、長期的に見ればそれほど大きな損失にはならないでしょう。後述する省エネ関連の補助金も整備されているため、賢く活用していくことが大切です。
3-2. 住宅会社選びが重要となる
省エネ住宅の義務化に伴い、住宅を提供する住宅会社側にも技術向上や対応が求められます。高断熱や高気密を実現するには、高度な技術力やノウハウが必要となるため、これまで以上に住宅会社選びが重要になるといえます。 施工を依頼する住宅会社を選ぶ際には、省エネ性能の向上に対してどのような技術を持っているのか、ホームページなどで施工事例や強みをリサーチしてみましょう。
3-3. 定期的なメンテナンスが必要
省エネ住宅として維持していくためには、入居後も定期的なメンテナンスが必要となります。例えば、自家発電のために太陽光パネルを導入する場合は、定期点検や交換のための手間と費用がかかります。 そのため、購入後にどのようなメンテナンスが必要になるのか、具体的な内容や頻度を事前に把握しておくことが大切です。
4. 省エネ住宅で活用できる補助金・減税制度
住宅の省エネ化は国を挙げて取り組んでいる課題であるため、施策を後押しすることを目的とした補助金制度も充実しています。ここでは、省エネ住宅で活用できる補助金や減税制度のうち、代表的なものをピックアップしてご紹介します。
4-1.ZEH住宅に関する補助金
「ZEH(ゼッチ)」とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称であり、一次エネルギーの消費量が差し引きゼロ(創出するエネルギー量-消費するエネルギー量=0)以下になるように設計された住宅のことです。基本的な取組みとしては、エネルギーの消費を極力抑える「省エネ」と、太陽光発電などでエネルギーを生み出す「創エネ」の2方向のアプローチがあります。 断熱性・気密性を省エネ住宅以上に向上させるとともに、太陽光発電や高効率な給湯システムなどの設備を導入し、さらに「HEMS」と呼ばれるマネジメントシステムを活用して消費エネルギーを最適化します。ZEHの実現には建築コストがかかるため、それを補うことを目的として、さまざまな支援制度が設けられています。 新築一戸建ての場合は、「戸建住宅ZEH化等支援事業」と呼ばれる制度の対象となります。令和6年度では、基本的な水準である「ZEH基準」を満たすことで、一戸あたり55万円+α、さらに厳格な「ZEH+基準」を満たすことで、一戸あたり100万円+αの補助金が支給されました。令和7年度の情報は、公開準備中となっています。
4-2.省エネ住宅のリフォーム減税
今回ご紹介したように、省エネ住宅への適合義務化は新築住宅が対象であり、中古住宅については特に適用されていません。しかし、リフォームによって中古住宅を省エネ化する場合には、一定の条件を満たすことでさまざまな優遇制度を利用できる可能性があります。 例えば、「リフォーム促進税制」では、性能向上工事(耐震・バリアフリー・省エネ・同居対応・長期優良住宅化・子育て対応の全て)を行い、併せて太陽光発電設備設置工事を実施した場合に、所得税から最大130万円(控除率10%)の税額控除が適用されます。「省エネ改修にかかる標準的な工事費用相当額から補助金を差し引いた額が、50万円を超えていること」などが要件です。 また、2014年4月1日以前から所有している住宅に一定の省エネリフォームを行った場合は、固定資産税の軽減措置を受けることも可能です。「省エネ改修にかかる工事費用から補助金等を差し引いた額が60万円を超えているか、工事費用が50万円超かつ、太陽光発電設備など他の設備工事と合わせて60万円を超えていること」などが要件となっています。 このように、中古住宅の省エネ改修を行う際は、リフォーム減税や関連する補助金の仕組み・条件にも着目することが大切です。
5.省エネ住宅の仕組みとルールを把握しておこう
2025年4月以降に新築される住宅は、原則として省エネ基準に適合した「省エネ住宅」でなければ建築が認められません。省エネ基準を満たすためには、「断熱等性能等級4および一次エネルギー消費量等級4以上」をクリアする必要があり、それには断熱性や気密性の向上が不可欠です。 「ランニングコストが抑えられる」「補助金を活用できる」といったメリットもありますが、省エネ化に合わせて建築コストが高くなることも考えられるため、住宅会社選びはより慎重に行う必要があります。 千葉銀行のサービス「ちばの住まいコンシェルジュ」では、住宅購入に関する幅広いお悩みについてご相談を受け付けています。 資金や住宅ローンから不動産会社選びまで、気になるお悩みがあればぜひご利用ください。
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