ご予約はこちら
ちばぎん
お金のこと
2023.10.6

住宅ローンの借りられる金額と返せる金額の違いとは?ローン手続きの進め方を解説

マイホームの購入では、どのような家を買うかの他に、どのように住宅ローンを組むかも重要です。

住宅ローンの借り方のコツは、無理をしないことです。
借りられる金額と返せる金額の違いを明確に意識し、適切な予算内に抑えておく必要があります。

この記事では、「住宅ローンの借りられる金額と返せる金額」をテーマに解説していきます。

目次
  1. 1.予算を考えるにあたって
  2. 2.住宅ローンの3つの指標
  3. 3.借りられる金額と返せる金額の違い
  4. 4.返済比率の具体例
  5. 5.住宅ローン審査の流れと項目
  6. 6.住宅ローンのさまざまな組み方
  7. 7.まとめ

1. 予算を考えるにあたって

今のお住まいの家賃や、住宅ローンを借りられる金額を予算として考えていませんか?
家賃≠ローン返済額、住宅ローンで借りられる金額≠返せる金額です。

まずは、自身のひと月当たりの手取り収入のうち住居費(住宅ローンの返済、マンション管理費等)にいくら充てられるのか計算してみましょう。

 (例)額面年収450万円、手取り年収360万円(月30万円)の場合

支出(ひと月あたり)
住宅ローン返済 76,546円
食費 50,000円
水道光熱・通信費 30,000円
日用品費 7,000円
教育費 30,000円
保険料 20,000円
被服 10,000円
車・娯楽他 46,000円
貯蓄 30,000円
合計 299,546円

この場合、住居費は手取り収入の25.5%にあたります。
このように住居費を手取り収入の30%以内に抑えると、家計のやりくりが上手くできそうですね。
マンションに住む場合は、住宅ローンの返済だけではなく管理費や修繕積立金なども住居費に加えることもポイントです。

それでは、次に住宅ローン審査の観点から予算について考えてみましょう。

2. 住宅ローンの3つの指標

住宅ローンの借入額が適切であるかどうかは、「返済比率」と「年収倍率」、「完済年齢」の3つの指標を基準に判断することが一般的です。
ここでは住宅ローンの3つの指標について解説します。

2-1. 返済比率

返済比率とは、額面年収のうち住宅ローンの年間返済額(※)が占める割合のことで、返済負担率と言う場合もあります。
※年間返済額=月々のローン返済額×12カ月(+ボーナス返済)。元金と利息を合わせた合計額。

返済比率(%) = 年間返済額 ÷ 額面年収 × 100

このとき年収は、手取りではなく額面の金額であることがポイントです。

住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
元利均等返済とは、元金と利息の合計額が毎月一定額となる返済方法のことです。
それに対して、元金均等返済とは、返済する元金だけが毎月一定額となる返済方法のことを指します。
一般的に、多くの住宅ローンで採用されている返済方法は元利均等返済です。

例えば、元利均等返済で毎月の返済額が10万円とすると、年間返済額が120万円となります。
額面年収が600万円の場合、返済比率=120万円÷600万円×100=20%です。

2-2. 年収倍率

ここでは住宅ローンが年収の何倍まで組めるかという視点から、借入額に対する額面年収の倍率のことを年収倍率と称して解説します。

年収倍率 = 借入額 ÷ 額面年収

年収倍率は1つの目安ですが、どちらかというと適切な借入額を判断するうえでは返済比率が重視されることが多いです。

2-3. 完済年齢

完済年齢とは、住宅ローンを完済するときの年齢のことです。

多くの金融機関では完済時年齢を80歳未満としていますが、一般的には定年退職後は大幅に収入が減少するため、定年退職までに完済することが理想的です。
しかし実際には、借入時の年齢によっては定年退職後も返済が続くケースもあります。
その場合、再雇用制度で働き続けることや、年金や退職金などで繰り上げ返済するなどの返済計画を考える必要があります。

3. 借りられる金額と返せる金額の違い〜適切な借入額とは〜

2章で具体的に家計における住居費の割合について見てみましたが、実際はどのような暮らしをしたいかによっても、住居費(住宅ローン)の適切な金額は異なります。

審査の面でいえば、金融機関は主に年収や勤務先などの情報を基に審査を行いますが、これらの情報だけでは個々のライフスタイルを十分に反映することが難しいことがあります。
例えば、年収が高くても他に多額の支出がある場合や、将来的な収入の変化を考慮しなければならない場合など、借りる金額と余裕をもって返せる金額には差が出ることも多いのです。
そのため、住宅ローンを組む際は、自身のライフスタイルや将来の予定などを考慮して、返済に無理のない適切な金額で借入することが重要です。

そのうえで、あらためて余裕をもって返せる金額について考えてみましょう。
各金融機関ではそれぞれ融資可能額に独自の基準を定めていますが、一般的に考えられている「借りられる金額」と「余裕をもって返せる金額」は、以下の通りです。

指標 借りられる金額 余裕をもって返せる金額
返済比率 30% 20~25%
年収倍率 10倍 5〜6倍
完済年齢 79歳 65歳

※額面年収比

金利や返済期間にもよりますが、年収倍率が6倍を超えても返済比率が20~25%以内に収まっていることもあります。
年収倍率は過度に意識する必要はなく、まずは返済比率を適正範囲内に留めることを優先しましょう。

また、完済年齢は一般的な定年退職年齢である65歳とすることが理想です。ただし、65歳はあくまで一つの目安に過ぎず、自営業者等の定年がない人はより柔軟に考えることもできます。

では、具体的に考えてみましょう。

4. 返済比率の具体例

ここでは、額面年収450万円の32歳会社員(妻、子1人)のケースを考えてみましょう。

【例1】

借入金額:2,500万円
金利:全期間固定金利1.5%
ローン期間:35年
ボーナス返済:なし
返済方法:元利均等返済

この場合、毎月の返済額は76,546円となります。
年間返済額は、918,552円(=76,546円×12ヶ月)です。

返済比率を求めると、以下のようになります。

返済比率(%)
= 年間返済額 ÷ 額面年収 × 100
= 918,552円 ÷ 4,500,000円
≒ 20.4%

このように返済比率は20.4%であり、20~25%以内となっているため適正水準の借入額であるといえます。

さらに、実際の家計の内訳イメージは以下のようになります。
※毎月の手取りが約30万円として計算しています。

支出(ひと月あたり)
住宅ローン返済 76,546円
食費 50,000円
水道光熱・通信費 30,000円
日用品費 7,000円
教育費 30,000円
保険料 20,000円
被服 10,000円
車・娯楽他 46,000円
貯蓄 30,000円
合計 299,546円

【例2】

借入金額:3,600万円
金利:全期間固定金利1.5%
ローン期間:35年
ボーナス返済:なし
返済方法:元利均等返済

この場合、毎月の返済額は110,226円となります。

年間返済額は、1,322,712円(=110,226円×12ヶ月)です。

返済比率を求めると、以下のようになります。

返済比率(%)
= 年間返済額 ÷ 額面年収 × 100
= 1,322,712円 ÷ 4,500,000円
≒ 29.4%

このように返済比率は29.4%であり、借りることはできますが収支は以下のようになり、ローン返済以外にはあまりゆとりがないように感じられます。

同様に毎月の手取りが約30万円として計算します。

支出(ひと月あたり)
住宅ローン返済 110,226円
食費 45,000円
水道光熱・通信費 30,000円
日用品費 7,000円
教育費 30,000円
保険料 15,000円
被服 10,000円
車・娯楽他 32,000円
貯蓄 20,000円
合計 299,226円

食費や娯楽費などを節約する必要がありそうですね。また貯蓄に回せる金額も限られそうです。
マイホームの購入はゴールではなく、その先の豊かな暮らしを実現するスタートラインだということを念頭に置いて、適切な価格の住宅購入および住宅ローンの借入をしたいものですね。

5. 住宅ローン審査の流れと項目

続いては、住宅ローン審査の流れと項目について解説します。

5-1. 手続きの流れ

住宅ローンと物件購入の手続きの流れは以下の通りです。

【全体の流れ】

住宅ローン事前申込・事前審査(仮審査)

物件購入の申込

不動産の売買契約

住宅ローン本申込・正式審査(本審査)

金消契約(住宅ローン契約)

住宅ローンの融資実行・不動産の引渡

住宅ローンの審査は、事前審査と正式審査の2段階に分かれています。

事前審査とは、不動産の売買契約を締結する前に行われる簡易的な審査を指します。
年収や借入希望額、年齢、職業(勤務先、勤続年数)等を申告し、希望額の借入が可能か審査が行われます。

正式審査とは、売買契約を締結した後に行われる審査のことです。
事前審査で申告した内容に加えて、売買契約書や重要事項説明書等の購入物件に関する書類の提出が必要となります。

売買契約書等が必要になることから、契約締結前に本申込はできません。
しかしながら、売買契約を締結した後で正式審査が下りないと困るため、あらかじめ事前審査を行うことが一般的です。

なお、住宅ローンの実行日は物件の引渡日となります。
売買契約日とは売買契約を締結する日のことであり、引渡日とは売買代金(手付金を除く残代金)を支払って所有権が買主へ移転する日のことを指します。

売買契約日には手付金(売買代金の5~10%)を支払うことが一般的です。
売買契約時点では住宅ローンは実行されませんので、手付金は自己資金の中から用意する必要があります。

なお、不動産の購入では主に以下のような諸費用が発生します。

費用項目 概要
税金 印紙税 売買契約書・工事請負契約書・金銭消費貸借契約書など
不動産取得税 不動産取得にかかる税金
固定資産税・都市計画税 精算が必要な場合引き渡し時に発生
手数料 仲介手数料 不動産仲介会社に支払う手数料
登記費用 所有権保存・移転登記や抵当権設定等にかかる費用(司法書士への報酬や登録免許税も含む)
ローン 事務手数料 融資実行時に金融機関へ支払う
保証料 融資実行時に保証会社へ支払う
その他 火災保険料 引渡時に発生
修繕積立一時金等 新築マンション購入時に発生

5-2. 住宅ローンの審査項目

住宅ローンの審査項目は、各金融機関が独自に定めていますが、一般的に審査対象となるものは、以下の通りです。

【一般的な審査項目】

・年収
・借入時年齢
・完済時年齢
・勤続年数
・勤務先の規模
・返済比率(返済負担率)
・担保評価
・連帯保証
・健康状態

健康状態に関しては、多くの金融機関が団体信用生命保険に加入できる健康状態であることを審査の対象としており、団体信用生命保険への加入は必須となっています。
団体信用生命保険とは、債務者(住宅ローンを借りた人)が死亡したときや、高度障がいになったときなどに、住宅ローンが完済される保険のことです。

なお、健康状態に不安のある方は、事前に査定することもできますので、お早めに銀行に相談することをおすすめします(加入可否については各生命保険会社が判断します)。

6. 住宅ローンのさまざまな組み方

住宅ローンの借入方法はいくつかあり、債務者一人のみの借入から、夫婦の収入を合算して借入する方法まであります。世帯年収を前提とすれば、借りられる額は大きくなります。世帯年収で住宅ローンを組む方法について解説します。

6-1. 単独借入

債務者単独(一人)でローンを組むことです。
融資関係人がいない分、諸費用は最も安くすみます。

6-2. ペアローン

ペアローンとは、夫婦それぞれが債務者となるローンの組み方です。

それぞれのローンは別物であるため、例えば夫が3,000万円、妻が2,000万円といった柔軟な組み方をすることができます。
ペアローンで組む場合、夫婦でそれぞれの債務の割合に応じた持分(所有権)を有します。

夫婦が別の住宅ローンを組むことから、夫婦それぞれが住宅ローン控除を利用することが可能です。
住宅ローン控除とは、年末の借入残高に対して一定率の金額を所得税から控除できる制度です。

また、ペアローンでは夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入します。

ただし、住宅ローンが2本になることから、諸費用が多く発生します。

6-3. 連帯債務

連帯債務とは、夫婦2人で同じ債務を負って住宅ローンを返済していくローンの組み方です。
連帯債務も、夫婦でそれぞれの持分割合に応じた持分(所有権)を有します。

連帯債務もペアローンと同様に、夫婦が別々で住宅ローン控除を利用することが可能です。

ただし、ペアローンとは異なり金融機関によっては団体信用生命保険に主債務者しか加入できない場合があります。

6-4. 連帯保証

連帯保証とは、夫婦の一方が債務者、もう一方が連帯保証人となる住宅ローンの組み方です。

連帯保証人とは、債務者と連帯して債務を保証する人のことを指します。

住宅ローン控除は債務者しか利用できず、団体信用生命保険には主たる債務者しか加入できませんが、連帯保証人の収入を含めて審査することができます。

まとめ

いかがでしたか?
住宅ローンの借入額は、「返済比率」や「年収倍率」、「完済年齢」の3つを目安に判断しますが、人それぞれ家族構成やライフスタイルによって適切な借入額は異なります。

手続きの流れや借り入れ方法と合わせて、無理せず住宅ローンを組む際の参考にしていただけると幸いです。

「ちばの住まいコンシェルジュ」では、住宅ローンの相談はもちろん、マイホームの資金計画のアドバイスやライフプランシミュレーションの作成も行っています。
中立的な立場から一人ひとりに寄り添ったご提案をさせていただきますので、お気軽にご予約ください。

コラム
ちばぎん
ご予約はこちら