環境・気候変動への対応
環境保全に関連する方針/ガイドライン
環境・気候変動対策への取組み
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TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への取組み
当行グループは、2019年12月にTCFD提言への賛同を表明し、気候変動に関する取組みについて、TCFDが開示を推奨する項目に沿って積極的な情報開示を行っています。
ガバナンス
ガバナンス体制
当行グループは、気候変動に伴うリスク及び機会を把握・管理するため、機動的かつ強固なガバナンス体制を構築しています。
取締役会による監督
気候変動に伴うリスク及び機会の把握・管理、各種施策の策定・遂行については、サステナビリティ推進委員会において四半期毎に議論・審議されています。同委員会において、議論・審議された内容は、定期的に取締役会に報告されます。
また、気候変動に伴うリスク及び機会に対する重要な取組事項については、別途、経営会議での付議を経て取締役会にて決議、または取締役会に報告されています。
気候変動への対応に関連する各種方針・経営計画等
当行グループは、「ちばぎんグループサステナビリティ方針」をはじめとする各種方針・経営計画等に気候変動への対応に関する項目を組み入れ、各種施策を進めています。
ちばぎんグループ サステナビリティ方針 |
「ちばぎんグループサステナビリティ方針」において、気候変動を含む環境問題への取組みをグループ全体で推進することを定めています。 |
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ちばぎんグループ SDGs宣言 |
「ちばぎんグループSDGs宣言」において、「環境保全」を優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)の一つとして定め、各種気候変動対策を進めています。 |
ちばぎんグループ 環境方針 |
「ちばぎんグループ環境方針」において、気候変動に関するリスクへの対応が地球環境にかかる重大な課題であることを認識し、「脱炭素社会」の実現を目指した取組みを実施することを定めています。 |
第15次中期経営計画 | 第15次中期経営計画において、「GX(グリーントランスフォーメーション)」を価値創出の基盤の一つとして定め、脱炭素への取組みを中期経営計画の重要戦略として組み込んでいます。 |
戦略
気候変動に伴うリスク及び機会
当行グループは、気候変動に伴うリスク(物理的リスク・移行リスク)及び機会について、短期(5年未満)、中期(5~10年)、長期(10年超~30年)の時間軸で定性的に分析しています。気候変動に伴うリスク及び機会の具体的な内容、気候変動に伴うリスク及び機会が、当行の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響は、以下のとおりです。
リスクと機会 | 具体的なリスク及び機会と当行の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響 | 時間軸 | ||
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リスク | ||||
物理的リスク | ||||
信用リスク | 大規模風水災等の発生による当行不動産担保の毀損 | (短期~長期) | ||
大規模風水災等の発生による営業拠点の被災を理由とした融資先の事業停滞に伴う業績悪化 | (短期~長期) | |||
海面上昇による融資先の営業拠点の被災に伴う事業撤退 | (長期) | |||
オペレーショナルリスク | 大規模風水災等の発生に伴う当行営業拠点の運営中断・不能 | (短期~長期) | ||
移行リスク | ||||
信用リスク | 気候変動に関する法規制や税制等の変更による融資先の業績悪化 | (中期~長期) | ||
脱炭素技術への投資の失敗や新技術への過大な投資負担による融資先の業績悪化 | (中期~長期) | |||
従来の商品やサービスに対する需要の減退に伴う融資先の業績悪化 | (短期~長期) | |||
脱炭素社会への進展による資源価格の急激な変動に伴う融資先の業績悪化 | (中期~長期) | |||
風評リスク | 当行の化石燃料セクターへの過大な投融資の継続を理由とした評判悪化に伴う株価下落や資金調達難 | (短期~長期) | ||
機会 | ||||
商品とサービス | 再生可能エネルギー関連融資を含むサステナブル・ファイナンスの取組みによる収益増加 | (短期~長期) | ||
脱炭素支援に関するコンサルティング実施による収益増加 | (短期~長期) | |||
災害対策や事業継続目的のためのインフラ投資に基づく資金需要拡大による収益増加 | (短期~長期) | |||
コストの低減 | 省エネ等の高効率運営による運営コストの低減 | (短期~長期) |
- 短期(5年未満)、中期(5年~10年)、長期(10年超~30年)
気候変動に伴うリスク及び機会に対する取組み
当行グループは、気候変動に伴うリスク及び機会を特定・認識したうえで、主な戦略として以下のような取組みを実施しています。
CO2排出量の 削減 |
「脱炭素社会の実現」を目指し、当行グループの自社排出によるCO2排出量の削減を図っています。
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「脱炭素経営」の支援 | お客さまの「脱炭素経営」を支援するためのさまざまな活動を実施しています。
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サステナブル・ファイナンスの強化 | 気候変動リスクの緩和・適応に資する環境系ファイナンスを中心としたサステナブル・ファイナンスによるお客さまへの資金支援を強化しています。
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気候変動リスク管理の強化 | 気候変動関連項目をトップリスクとして選定し、リスク管理を強化しています。
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シナリオ分析
当行グループは、2℃以下のシナリオを含むさまざまな気候変動シナリオを考慮して、当行の戦略におけるレジリエンスについて分析しています。
各シナリオに基づき分析した結果、分析期間(2050年まで)における物理的リスクは70~80億円、移行リスクは最大で300億円であり、当行の業績(親会社株主に帰属する当期純利益(連結)602億円)等を勘案し、これらのリスクは、現時点においては、当行の事業の持続可能性に重大な懸念を与えるものではないと認識しています。
気候変動に伴う物理的リスク・移行リスクについては、今後も継続的に分析手法の高度化を図り、リスクの管理と適切な対応策の実施、並びに情報開示に努めていきます。
物理的リスク | 移行リスク | |
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シナリオ | IPCCのRCP4.5及びRCP8.5(4℃シナリオ) | IEAのNZEシナリオ NGFSのNet Zero 2050及びBelow 2℃シナリオ |
分析対象 | 当行不動産担保(一般貸出のみ) 当行融資先(一般事業法人) |
石油・ガス、石炭セクター 電力ユーティリティーセクター 鉄鋼セクター 化学セクター(2022年度より追加) |
分析手法 | 台風・豪雨等の風水災による当行不動産担保の毀損と、建物用地の浸水割合により算定した融資先の事業停滞に基づく与信関係費用の増額額を分析 | IEAのNZEシナリオ等を基に、2050年までの融資先の業績・財務状況の試算を行い、債務者区分の変化による与信関係費用の増加額を分析 |
分析機関 | 2050年まで | 2050年まで |
分析結果 | 与信関係費用の増加額:70~80億円 | 与信関係費用の増加額:最大で300億円 |
- 建物利用地のリスク状況やリスク割合に関しては、気象情報会社「㈱ウェザーニューズ」による支援を得て分析を実施しています。
PCAF(Partnership for Carbon Accounting Financials)への加盟
2022年12月、当行は「Partnership for CarbonAccounting Financials(以下「PCAF」)」に加盟しました。PCAFは、金融機関が投融資を通じて資金提供を行った先のGHG排出量を計測する手法を開発している国際的なパートナーシップです。
当行は、PCAFへの加盟により、PCAFが保有する知見及びデータベース等を活用し、投融資先のGHG排出量の計測・開示に向けた取組みを推進していきます。
リスク管理
リスクの特定・評価
当行グループは、気候変動に伴うリスク(物理的リスク・移行リスク)が、当行グループの経営に重要な影響を与えるリスクと認識し、具体的な内容を時間軸(短期・中期・長期)毎に特定・評価したうえで、管理を強化しています。これらのリスクの特定・評価は、経営企画部とコンプライアンス・リスク統括部が連携して実施し、その分析結果はサステナビリティ推進委員会等にて報告しています。
トップリスク管理
当行グループは、事業を取り巻くリスク事象のうち、影響度や蓋然性の観点から重要度の高いリスクを「トップリスク」として、取締役会にて選定しています。「トップリスク」の選定や管理にあたっては、リスク事象を幅広く網羅したリスクマップを作成し、社外取締役やグループ会社も含め議論を実施し、ALM委員会や取締役会にて報告を行っています。
気候変動に伴うリスクの管理を強化するため、「気候変動・カーボンニュートラル対応」を「トップリスク」の一つとして選定し、管理しています。
統合的なリスク管理
当行グループは、リスク毎に管理する部署を定め、コンプライアンス・リスク統括部がこれらのリスクを一元的に把握し、対応策等を協議しています。また、グループCRO(最高リスク管理責任者)が、リスクの状況を取締役会に報告しているほか、実効性のあるリスク管理体制を実現するため、リスク管理が適切に行われているかを監査部が監査し、取締役会に報告しています。
気候変動に伴うリスクは、定性的及び定量的な分析結果を踏まえ、融資先の事業活動に及ぼす信用リスクや、当行拠点の営業継続にかかるオペレーショナルリスク等に分類され、上記のリスク管理体制に統合されています。
融資ポリシーの策定と特定セクターに対する与信の厳格化
当行グループは、環境・社会に対して大きな影響を与えると考えられる特定のセクターなどについて融資ポリシーを策定し、公表しています。同ポリシーにおいて、石炭火力発電所向け与信等を含む当行の与信上の取組姿勢を明確にしています。
また、地球温暖化に対して大きな影響を与えると考えられる化石燃料関連セクターに対する与信を検討する際には、SDGs担当部門の見解を付したうえで取組可否を判断するなど、より厳格な審査体制としています。
融資ポリシー(抜粋)
<新設の石炭火力発電所向け与信>
新設及び既存設備の拡張の石炭火力発電所向け与信は、原則として、取組みません。ただし、日本国政府・国際開発機関などの支援が確認できる場合においては、上記方針の例外として、国際的なガイドライン等※を参考に、発電効率性能や環境への影響等の個別案件ごとの背景や特性等も総合的に勘案したうえで慎重に対応を検討する場合があります。
- OECD公的輸出信用アレンジメント等
他のセクターを含む融資ポリシーの全文はこちらをご参照ください。
CDP気候変動調査
当行は、CDP※による2022年度の気候変動に関する調査において「A-」評価を取得しました。「A-」評価の取得は、2021年度に引き続き2年連続となります。
- 企業・自治体等の環境に関する情報を収集・評価・開示する国際的な非政府組織
指標と目標
カーボンニュートラル宣言
気候変動問題に関する国際的な枠組みとして、2016年にパリ協定が発効し、世界共通の長期目標として、世界的な平均気温上昇を、産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することが掲げられています。
当行はこのパリ協定を支持し、2022年3月に「2030年度までにCO2排出量(SCOPE1+2)ネットゼロ」とする目標を公表し、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
CO2排出量(SCOPE1+2)
2022年度のCO2排出量は12,316t-CO2となり、前年度に比較し33.2%減少しました。今後もさらなる削減に向けて、照明器具のLED化、環境対応車の導入等による省エネ施策を進めるほか、2023年4月に設立した電力事業子会社「ひまわりグリーンエナジー㈱」を活用し、当行グループ向けの太陽光発電所の設置等を検討しています。
2025年度の中間目標(6,000t-CO2)及び2030年度カーボンニュートラルの達成に向けて、各種取組みを強化していきます。
- 自社契約電力の再生可能エネルギー化
2022年10月、低圧電力等の一部を除き、当行が直接契約するほぼ全ての電力について、再生可能エネルギー由来の電力への切替えを実施しました。本件取組みにより、当行グループのCO2排出量は、2021年度比で約6割程度削減される見込みです。 - 第三者保証の取得
CO2排出量の計測・開示にあたり、数値の信頼性を確保するため、2021年度(18,429t-CO2)と2022年度(12,316t-CO2)の排出量については、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン㈱による独立した第三者保証を取得しています。
今後も、第三者機関による検証を継続し、信頼性の高い情報開示を行っていきます。
CO2排出量(SCOPE3)
(単位:t-CO2)
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
カテゴリー1(購入した製品・サービス) | ─ | ─ | 8,926 |
カテゴリー2(資本財) | ─ | ─ | 18,081 |
カテゴリー3(SCOPE1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動) | ─ | ─ | 2,242 |
カテゴリー4(輸送・配送(上流)) | ─ | ─ | 1,297 |
カテゴリー5(事業から出る廃棄物) | ─ | ─ | 2,529 |
カテゴリー6(出張) | 540 | 575 | 562 |
カテゴリー7(雇用者の通勤) | 1,590 | 1,391 | 1,436 |
カテゴリー13(リース資産(下流)) | ─ | ─ | 3,805 |
カテゴリー15(投融資※) | ─ | 6,315,148 | 12,622,906 |
SCOPE3カテゴリー15の内訳(2022年度)
炭素強度(単位:t-CO2/百万円) | 排出量(単位:t-CO2) | |
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農業 | 5.3 | 136,148 |
製紙・林業 | 3.42 | 170,625 |
飲料・食品 | 3.78 | 499,479 |
金属・鉱業 | 10.26 | 1,776,486 |
化学 | 4.9 | 450,184 |
石油・ガス | 7.5 | 76,030 |
建築資材・資本財 | 5.12 | 555,363 |
自動車 | 4.44 | 45,657 |
電力 | 29.08 | 678,320 |
不動産管理・開発 | 0.68 | 462,983 |
陸運 | 3.83 | 550,927 |
海運 | 16.77 | 267,452 |
空運 | 12.14 | 27,555 |
その他 | 2.6 | 6,925,696 |
合計 | — | 12,622,906 |
- 2021年度は、上場企業を中心に排出量開示先のみを計測。2022年度は、計測対象範囲を拡大し排出量未計測・非開示の先は推定値を採用。計測対象先の融資額約7兆円(2021年度は約1.5兆円)は、一般事業法人・公共・個人事業主向け融資額の86.9%に相当。
当行は、SCOPE3カテゴリー15について、2021年度から計測と開示を実施しており、2022年度は計測対象範囲を拡大しました。今後もPCAFのデータベース等の活用により計測対象範囲の拡大を進めていく一方で、脱炭素に向けたお客さまの取組みを支援し、2050年の脱炭素社会の実現に向けてSCOPE3カテゴリー15の削減を図っていきます。
カーボンニュートラルに向けたロードマップ
サステナブル・ファイナンスの推進
当行グループは、環境課題や社会課題の解決を資金使途とする投融資を「サステナブル・ファイナンス」として位置づけ、取組みを強化しています。
サステナブル・ファイナンスの主な事例
- サステナビリティ・リンク・ローン
- グリーンローン
- ポジティブ・インパクト・ファイナンス
- ちばぎんSDGsリーダーズローン
- ちばぎんSDGsフレンズローン
- ちばぎんSDGs私募債
- 再生可能エネルギー関連融資
- 社会インフラの形成に資するプロジェクトファイナンス
- 環境配慮型住宅向け資金(サステナ住宅応援割)
- 環境に配慮したリフォーム資金(リフォームローン)
- 環境対応車購入資金(マイカーローン)
- グリーンボンド、サステナビリティ・リンク・ボンド等の債券投資
サステナブル・ファイナンスの実行額目標と実行額実績
当行は、2019年度から2030年度までのサステナブル・ファイナンスの実行額目標を、2兆円(うち環境系ファイナンス1兆円)としています。
2022年度(2023年3月期)までの実行額実績は9,758億円(進捗率48.8%)、うち環境系ファイナンスは4,161億円(同41.6%)となっています。
実行額目標 (2019年度‐2030年度) |
実行額実績【進捗率】 (2019年度‐2022年度) |
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サステナブル・ファイナンス | 2兆円 | 9,758億円【48.8%】 | |
うち環境系ファイナンス | 1兆円 | 4,161億円【41.6%】 |
炭素関連資産の状況
2021年10月のTCFD提言の改訂を踏まえ、炭素関連資産とする対象セクターを、エネルギー※、運輸、素材・建物、農業・食料・林産物セクターに拡大しました。2023年3月末の当行の貸出金・支払承諾・外国為替・私募債(以下、貸出金等)に占める、炭素関連資産向けの貸出金等の割合は36.4%です。
なお、従来の炭素関連資産の定義に基づく炭素関連セクター向け貸出金等の、当行の貸出金等に占める割合は1.4%です。そのうち、石炭火力発電向けの貸出金等の、当行の貸出金等に占める割合は0.1%であり、石炭火力発電向け与信は2037年3月末までにゼロとなる計画です。
- 石油、ガス、電力(再生可能エネルギー事業を除く)・ユーティリティ
環境への取組み
自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムへの参画
持続可能な社会を実現させるためには、気候変動への対応に加え、生物多様性を含む自然資本の保全についても、重要性が高まっています。
2023年2月、当行は自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:TNFD)の取組みに賛同し、TNFDフォーラムへ参画しました。TNFDフォーラムへの参画を通じて、自然関連の財務情報を開示する枠組みの構築に貢献していきます。
日本銀行による気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション
気候変動対応に資する投融資にかかる実績(対象投融資残高):1,087億円
(2023年3月末現在)
ちばぎん本店ビル
自然エネルギーを活用するとともに、省エネルギー化を促進する建物といたしました。建築環境総合評価システム(CASBEE)でSランク相当の性能を有しています。