地域のお客さまと事業者の方々をつなぎ経済循環を活性化させる「地域エコシステム戦略」。それは、ちばぎんグループ中期経営計画の基本方針「最高の顧客体験の創造」の実現に向けた取組みです。
戦略の一角を担う、ちばぎんグループの地域商社であるちばぎん商店株式会社(以下、ちばぎん商店)は、千葉に眠る優れた商品・サービスを磨き上げ、世の中に広く発信するプロジェクト「C-VALUE」を展開し、地域の消費行動を促すための新しい価値づくりに取り組んでいます。
千葉銀行を母体とするちばぎんグループだからこそのシナジーが生まれている、そう語るのは同社 代表取締役社長 真下 健吾氏。では、そのシナジーの正体とは?
今回、同氏と地域商社事業部 部長 荻田 周介氏に、ちばぎん商店の設立背景から今後のビジョンに至るまでのお話と併せて語っていただきました。
真下 健吾
ちばぎん商店株式会社 代表取締役社長
2006年千葉銀行入行。営業店、人材育成部を経て早稲田大学大学院にてMBAを取得。経営企画部にて中期経営計画の策定やコーポレートガバナンスを担当後、新規事業担当としてちばぎん商店株式会社を起ち上げ。同社地域商社事業部長を経て23年4月より現職。
荻田 周介
ちばぎん商店株式会社 地域商社事業部部長
2023年千葉銀行入行。大手百貨店、デジタルマーケティング領域のベンチャー企業を経てちばぎん商店株式会社へキャリア入行。ちばぎん商店のECサイトおよびマーケティング全般を統括。24年10月より現職。
金融サービスのコモディティ化が進む近年、千葉銀行は伝統的な金融業務だけではお客さまの課題解決や本業支援にいま少し手が届かない状況にありました。そのような中、銀行法改正により銀行が行う業務の可能領域が拡大した社会背景をきっかけとして、金融面だけでなく非金融面でのサービス提供の検討が始まりました。
真下:
従来の銀行は、融資や住宅ローンのようにお金が必要になるタイミングではじめて登場するケースが多いですよね。しかし、それだけでは他行のサービスとの差別化が難しいため、より商流の川上からお客さまとのタッチポイントを持ち、その延長線上で金融サービスを提供できないかと考えました。そうすれば銀行グループが持つネットワークやノウハウを生かして多様なサービスを提供でき、結果としてお客さまのお役に立てるのではないかと。規制緩和の波と千葉銀行の置かれている立場。これらが地域商社・ちばぎん商店の設立につながりました。
挑戦するCHIBAを伴走支援 生産者の思いをよりよいカタチで
商流の川上に立つべくちばぎん商店が始めたのは、千葉の新たな価値を生み出す「C-VALUE」プロジェクト。プロモーション効果に長けるクラウドファンディング、継続的な販売を可能にするECサイト、実際に手に取り価値を感じていただけるリアルイベントという3つのアプローチで、新しい商品・サービス開発に挑戦する千葉県の事業者の方々を支援しています。
真下:
千葉は都心に近く、海や山の一次産品が豊富に採れるにもかかわらず、その魅力は世間に十分に知られていないと感じています。ですが、その状況はビジネスチャンスとも取れます。
私たちのサービスのポイントは、一件一件のプロジェクトに担当がついて事業者の方々と一緒に新しい価値を生み出していくこと。同じ目線で伴走するからこそ、皆さまのものづくりの背後にあるストーリーやこだわりなども見えてきます。クラウドファンディングを起点にそれらを発信することで、商品を深く知ってもらえることができ、再度購入してくれるファンも生まれやすくなるのです。また、新商品という形に限らず、リブランディングやパッケージの刷新といった各々の「新しい」ことにチャレンジする場としても利用いただいています。
荻田:
「新規顧客を獲得できた」「売上が伸びた」と言ってくださる事業者の方も実際にいらっしゃり、マーケティング支援の成果が現れ始めているように感じています。その一方で課題や伸びしろも同時に見えてくる中で、そこから継続的に支援させていただく関係もできつつあります。
リアルイベントでは一般の方から「知らなかった千葉の良いものと出会えた!」という喜びの声をいただき、我々のサービスがお客さまの生活を豊かにできているのではないかと思える出来事でした。
真下:
代表的なプロジェクトとしては鉄道沿線特集が挙げられます。小湊鐵道といすみ鉄道の沿線を取り上げた「たすきプロジェクト」がまさにその例で、その他にも千葉都市モノレールのプラレール化プロジェクトも沿線特集をきっかけに生まれた企画です。各沿線で事業者を募り、一気に十数個のプロジェクトを立ち上げるため、エリア全体へのプロモーション効果が期待できます。狙い通り、それ以後は新規のご相談が増え、かなりの反響がありました。
2025年4月26日(土)に小湊鐵道といすみ鉄道の接続駅である上総中野駅にて、房総横断鉄道たすきプロジェクトの特別企画「結び目マチルシェ」が行われました。
これまでのプロジェクト総数は300件を超え、今では食品、観光、イベントといった幅広いジャンルの商材を取り扱っています。設立から多くの成功事例を積み重ねてこられたのは、ちばぎん商店特有のビジネス環境が関係していました。
真下:
設立当初、私たちは商品開発の知見をアウトソーシングするしかなかったのですが、パートナーを見つけるにはちばぎんグループの持つネットワークが役立ちました。また、銀行の強みであるお客さまとの深いリレーションシップも課題の深堀りに活かされます。さらにもう一つは、立ち上げ時から銀行の顧客基盤にアプローチできることも大きな強みでした。我々の取組みの認知度が低い中、事業者の皆さまのプロジェクトをプロモーションする方法として、銀行の顧客基盤を活用したメールマガジンの発信や千葉銀行の各支店へチラシを設置することは非常に効果がありました。
各プロジェクトの立ち上げにあたっては、銀行の営業担当がヒアリングした事業者の皆さまの課題やお悩みをもとに企画するケースが多くあります。地方銀行独自だと思いますが、営業担当は毎日のように事業者の皆さまとお会いして「新商品をつくりたい」「売れなくて困っている」といったご相談をいただきます。そこで営業担当はC-VALUEをお客さまの本業支援の武器として使い、私たちはダイレクトマーケティングをする。銀行に従来からあった事業者の皆さまとのつながりを活かして思いを具現化するという、ちばぎんグループならではのシナジーが生まれていると思います。
香取市小見川町の「香湯ぎょうざ」。加工工場の建設からクラウドファンディング、ECサイトでの販売までちばぎんグループが一気通貫でご支援しました。
荻田:
今では社内に高い専門性とスキルを持ったメンバーが複数名加わり、自社内でできることが大幅に増えています。私自身もマーケティングの専門家として入社しましたし、他にもWEB業界やテレビ局、自治体など異なるバックグラウンドと専門性を持つメンバーが同じ目標に向けて日々取り組んでいます。
印象的なのは、メンバーそれぞれの思考や行動のスタイルが実に多様であることです。私はマーケティング領域出身ということもあり、データや顧客心理から入るタイプ。一方、千葉銀行で長年事業者の皆さまの経営を支えてきたプロパーのメンバーは、リスクに対する感度が非常に高く、冷静かつ的確な一手を打つことができます。また、テレビ局出身のメンバーは、世の中の空気感を読む嗅覚が抜群で、私たちが思い浮かばないアイディアや切り口で商品やサービスの魅力を引き出してくれます。自分一人のみの視点ではたどり着けないアクションも多く、文字通りダイバーシティの中で皆が一丸となってお客さまのために取り組むことができていると思います。
全国の「千葉推し」が千葉のこれからを作る 県内外の取組みへ
設立5年目を迎える今年、ちばぎん商店はこれまでに蓄積されたノウハウを駆使して県外進出も視野に入れています。しかし同時に、地域経済を活性化させるという目的のためには県内への取組みをよりスケールアップし、事業を拡大させることが欠かせません。
真下:
これまでは千葉県内の事業者の皆さまの商品・サービスを千葉の方々に知ってもらうことを中心としてきましたが、今後は商圏を千葉県の外にも広げていきたいと考えています。ちばぎんグループが参加している広域地銀連携の「TSUBASAアライアンス」(※)を中心とした全国のネットワークを活用して、千葉の商品・サービスを県外にも発信していきたいです。実際に、新潟や四国の地域商社とはお互いの商品を地元のスーパーや百貨店で売ろうといった話も持ち上がるくらい密なやり取りが行われています。
一方で、引き続き県内にも注力していきたいと思っています。ちばぎんアプリのユーザー数が100万人を超えていることを踏まえると、ちばぎん商店がアプローチできる伸びしろはまだまだあるはずです。
TSUBASAアライアンス…千葉銀行、第四北越銀行、中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行、武蔵野銀行、滋賀銀行、琉球銀行、群馬銀行の 10 行が参加する地銀広域連携の枠組み。
荻田:
利便性が高く価格メリットも大きい競合サービスもある中で、なぜ我々のサービスを利用していただけるのかをよく考えます。お客さまがよくおっしゃるのは、「地元の会社を応援したい」、「若者の挑戦を応援したい」という地元への愛です。応援消費(※)という考え方が現在では定着していますが、その矢印が地元である千葉に向いている人のボリュームが大きいことの表れだと思っています。私たちのサービスを通じて、そうした人々の地元に対する思いを表現できる場や仕組みを作ることが、目指すべき「地域エコシステム」の根幹だと考えています。
応援消費…人や企業・地域などを応援するためにお金を使うこと。
真下:
外向きでも内向きでも、我々が目指しているのは「千葉推し」を増やすこと。地域の事業者さまの素晴らしい商品・サービスをお届けすることで千葉を知って好きになってもらい、結果的に地域で暮らす人が増えたり、地域が元気になったりすれば、ちばぎんグループにとっても千葉県にとっても意義があると思います。
これからも非金融部門を担う組織として新しいことへのチャレンジ精神を忘れずに、ちばぎんグループの取組みである「地域エコシステム戦略」にしっかりと貢献していきます。
※所属、役職およびインタビュー内容は取材当時のものです。