ちばぎん

TOP ごあいさつ

特別寄稿

千葉銀行80年史

本店アルバム 資料

TOP > 特別寄稿 千葉銀行の未来像

印刷する

千葉銀行の未来像 取締役頭取・グループCEO 
米本 努

パーパス・ビジョンに込めた想い

2023年4月に当行グループのパーパス(存在意義)とビジョン(あるべき姿)を制定しました。そこに至る経緯やパーパス・ビジョンに込めた想いを記します。

当行には、これまで多くのお客さまに支えられて築き上げてきた確固たる営業基盤があります。主要な営業地域である千葉県は、国際空港を抱え、幹線道路や鉄道などの交通インフラの整備を中心とした数多くの官民プロジェクトが進行しています。2023年3月にはJR京葉線に県内で25年ぶりのJR新駅となる幕張豊砂駅が開業するなど、地域のポテンシャルがますます高まっています。

一方で、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行や地球規模の気候変動問題、デジタル化の加速、地政学リスクの顕在化など、社会・経済情勢が目まぐるしく変化するなかで、個人の価値観や行動様式も大きく変わりました。銀行業界では規制緩和が進み、もはや銀行という言葉ではくくれないようなさまざまな事業領域に参入できるようになりました。

このような不可逆的な変化に直面し、私は経営者として「我々の日々の活動は何を生み出しているのか」「千葉銀行グループと関わる人々にとって、我々はどのような存在であるべきか」を常に考えてきました。何度も自問自答を繰り返し、お客さまや職員の声に耳を傾け、役員とも徹底的に議論をしてきました。

そして、頭取就任後初めてとなる中期経営計画を策定するにあたり、原点に立ち返って、当行グループのパーパスとビジョンをつくろうと決めました。利益のみを優先するような銀行本位のものでなく、お客さまをはじめとするすべてのステークホルダーが共感でき、夢のあるものにしようと検討を重ねて完成したパーパスが、「一人ひとりの思いを、もっと実現できる地域社会にする」です。

パーパスとビジョン
パーパスとビジョン

すべてのステークホルダーの思いが叶う地域社会へと変えていくため、我々は、これまでの金融サービスを中心とした「機能的価値」に加え、企業としての視座を引き上げ、新たに「社会的価値」を提供していきます。

「社会的価値」の提供とは、当行グループが金融サービスに加え、非金融分野のサービス拡大を通じて、人口減少、少子高齢化、DX、GXといったさまざまな社会的課題の解決に貢献していくことであると考えています。こうした取組みは、域内企業・自治体に持続的成長や雇用創出をもたらします。個人においては所得の増加や消費の活性化をもたらし、それが豊かなライフスタイルのサポートへとつながっていきます。すべてのステークホルダーと共感できる価値観を形成し、当行のファンを増やしていくという考え方です。

ステークホルダーへの「社会的価値」の提供
ステークホルダーへの「社会的価値」の提供

政府が掲げる経済政策「新しい資本主義」においても、科学技術やイノベーションによって社会的課題の解決と経済成長の両立を目指すとしており、社会をどう良くしていくかという視点がなければ企業の成長性が描けない時代になったと言えます。

このパーパスには、事業者や投資家にとっての持続的な成長、個人のお客さまにとっての豊かな生活の実現、従業員の自己実現など、あらゆるステークホルダーと思いをともにしながら、当行グループが一人ひとり、一社一社に寄り添った存在であり続けたいという想いが込められています。また、グループ役職員にとってパーパスは、仕事で悩みや迷いを抱えたときに、いつでも自分を見つめ直すことができる拠り所にもなると信じています。

パーパスが企業にとっての「なぜ」に対する答えとするならば、ビジョンは「どこ」を目指すのかということになります。

パーパスの実現に向けて、グループのビジョンを「地域に寄り添う エンゲージメントバンクグループ」と定めました。エンゲージメントとは、「深いつながり」を意味する言葉です。

我々は、「お客さま中心のビジネスを通じたお客さまに対する深い理解」「やりがいや成長機会の提供による従業員との強い信頼関係」「成長戦略の共有による株主との共感」といったステークホルダーとの深いつながりを何より大切にし、これらを背景とした価値提供を通じ、地域とともに成長し続ける銀行グループを目指していきます。

さらに、パーパス・ビジョンをすべての行動の判断軸とし、企業文化として定着させていくため、我々は「三つの誓い」を立てました。これはすなわち、お客さまへの提案や業務上の判断を行う場合に必ず立ち止まって、その提案や判断が「お客さまの思いの実現」「お客さまの課題の解決」「お客さまのライフスタイルの実現」につながるのかを考えるというものです。この「三つの誓い」はカードにして、新たに制定したFDハンドブックとともにグループ役職員が携行できるようにし、組織への浸透を図っています。

「三つの誓い」カード
「三つの誓い」カード
FDハンドブック
FDハンドブック

パーパス・ビジョンを掲げ、当行グループはこの先の時代の変化にも柔軟に対応しながら、地域社会をステークホルダーの思いが叶う場所へと導いてまいります。

中期経営計画で目指すもの

普遍的な考えとしてのパーパス・ビジョンを機動的な実現戦略に落とし込んだものが中期経営計画となります。

2023年4月にスタートした第15次中期経営計画(計画期間:2023~2025年度)は、名称を「エンゲージメントバンクグループ −フェーズ1−」とし、お客さま中心のビジネスモデルへと進化するための3年と位置付けました。計画の策定にあたっては、営業店職員を中心メンバーとする中計策定委員の意見も取り入れました。

フェーズ1の進捗や成果を踏まえつつ、フェーズ2でステークホルダーとのエンゲージメントをさらに向上させ、フェーズ3で当行グループのファンや営業基盤を一層拡大していくというステップをイメージしています。

第15次中期経営計画の概要
第15次中期経営計画の概要

中期経営計画の取組指針に掲げた「お客さま中心のビジネスモデルの進化」とはすなわち、従来のビジネスモデルの課題を整理し、商品・サービス提供の視点を変えていくということです。

1点目は、プロダクト中心の提案をパーソナライズ提案へと変えていきます。これにより、ライフステージに応じてお客さまに合った商品を最適なタイミングで提案できるようにします。

2点目は、顕在化したニーズへの提案から、商流の川上に立った提案へと変えていきます。One to Oneマーケティングによってお客さまのニーズに先回りした提案を行い、お客さまがまだ気づいていない潜在的なニーズにも働きかけることで、提案の幅をより一層広げていきます。車や家の購入など、これまで消費活動の最後に銀行が関わってきたことが、これからは最初に銀行が登場する、といったイメージです。

3点目は、金融サービスが一般化するなかで、お客さまのニーズに沿った非金融分野のサービスを拡充していきます。地域商社や電力事業会社などを活用しながら、幅広いサービスの提供を目指していきます。

4点目は、お客さまの価値観や行動様式に合わせ、デジタル・リモート・リアルそれぞれの特性を踏まえた最適なタッチポイントを構築していきます。対面チャネルにおいてはコンサルティングファームのような専門性を、非対面チャネルにおいてはデジタルバンクのような利便性を追求し、リモートチャネルはその両方を兼ね備えたハイブリッド型として、お客さまに最適なチャネルを選んでいただけるようにしていきます。

お客さまには、「近さ」だけでなく、さまざまな顧客体験を通じて「便利さ」や「役に立つ」ということに新たな価値を見いだしていただきたいと望んでいます。そうして蓄積された日常的な取引によって、個人のお客さまに対しては「お金に関する総合コンサルタント」として、法人のお客さまに対しては「経営の補佐役」として、お役に立ちたいと考えています。

お客さま中心のビジネスモデルの進化
お客さま中心のビジネスモデルの進化

中期経営計画の全体像は三つの基本方針(「最高の顧客体験の創造」「既存事業の質の向上」「新たな価値の提供」)と、それを支える五つの価値創出の基盤(DX、GX、アライアンス、人的資本、グループ・ガバナンス)とで構成されています。基本方針に則った施策を着実に実行し、地域への「社会的価値」の提供を通じたサステナビリティ経営を実践していきます。

また、中期経営計画では、主要5項目に対する計数目標を設定しました。具体的には、計画期間が終了する2026年3月期 において、①連結ROE7%台前半、②親会社株主に帰属する当期純利益750億円、③連結業務純益1,200億円、④連結普通株式等Tier1比率10.5%~11.5%、⑤連結OHR45%程度の達成を目指します。さらに、①と②については2030年度に目指す水準として、それぞれ8%程度、1,000億円の長期展望も示しました。

「一人ひとりの思いを、もっと実現できる地域社会」を目指し、当行グループは新たなステージへと踏み出してまいります。

人が育つちばぎんグループへ

パーパス・ビジョンとともに、新たに人材育成方針「共に走り続ける人に。」を制定しました。

この方針には、職員一人ひとりが「お客さまや地域、仲間と一緒に走り続けるパートナーになってほしい」という想いが込められており、職員へは銀行が求める人材像を「考え抜け」「自分の強みを持て」「仲間を増やせ」の三つの短い言葉で発信しました。

「考え抜け」とは、従来のやり方に固執せず、他にできることや工夫できることはないか、いまやっていることは本当に正しいことかを常に自分に問いかけ、失敗しながらでも理想に向かって考え抜き、自ら行動しようというメッセージです。誰もが自分の考えを発信でき、目標に向かって行動・挑戦し続けられる組織・風土を育んでいきます。

「自分の強みを持て」とは、自分だから出せる価値は何かを常に追求しようというメッセージです。多様な強み・専門性を持つ人材が集まれば多くの可能性が生まれます。立場や年齢に関係なく、新しい知識や情報を積極的に取り入れて、実践しながら高みを目指していこうとする考え方です。

「仲間を増やせ」とは、実現したいゴールに向けて、周囲を巻き込みながら走っていこうというメッセージです。一人では実現できないことも、多様な人材がつながればそれが可能となります。そのため、仲間には常に誠実に接し、互いに尊重し合うことも伝えています。

人材の成長を起点として、職員が成長する、お客さまに「社会的価値」を提供する、地域社会や当行グループが持続的に成長する、生み出される利益で再び人材育成に投資する、という好循環を目指していきます。

また、中期経営計画では、職員の成長とエンゲージメントの向上を柱とする人材戦略を策定し、職員の自己実現の機会を積極的に提供していきます。3年間で前中期経営計画の倍となる延べ280人をトレーニー派遣や外部出向などで育成する計画であり、職員一人ひとりに寄り添った人材育成によって個々のキャリアステップを強力にバックアップしていきます。

職員の能力やモチベーションを最大限に高め、エンゲージメント向上に努めることが組織力の強化につながり、厳しい環境を勝ち抜く原動力となっていくのです。

人材育成方針と人材戦略
人材育成方針と人材戦略

「人が育つちばぎんグループ」へ

我々は、多様な専門家が集まって新たな価値を創出する千葉銀行グループへと飛躍していきます。

TOP > 特別寄稿 千葉銀行の未来像