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2007年頃から、米国でサブプライムローン※1の延滞が急増し、金融市場では同ローンを裏付けとした証券化商品の相次ぐ格下げや、フランス大手銀行BNPパリバ傘下のファンド解約凍結などによって、信用不安が一気に表面化した。
2008年9月、サブプライムローン関連で巨額損失を出した米国大手投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻すると、連鎖的に世界規模の金融危機(いわゆるリーマンショック)が発生した。
金融危機は実体経済へと波及し、わが国も2008年度と2009年度の2期にわたってマイナス成長となった。消費者物価は下落し続け、2009年3月には日経平均株価がバブル崩壊後最安値となる7,054円98銭をつけた。
日本銀行は、2008年12月に「企業金融支援特別オペレーション」※2の導入を決定し、企業金融の円滑化を支援したほか、各国の政府・中央銀行も過去に例を見ない大規模な財政金融政策を打ち出し、金融機能と景気の回復に努めた。こうして2009年前半に世界経済は最悪期を脱し、わが国経済も新興国向け輸出の拡大やエコカー補助金などの景気対策によって、緩やかながら回復していった。
2009年9月に発足した民主党の鳩山内閣において、同年11月に「中小企業金融円滑化法」※3が成立した。これによって金融機関は、中小企業者や住宅ローン利用者からの貸付条件変更等の申込みに対する適切な対応とそのための体制整備、実施状況等の定期的な開示・当局への報告が義務付けられた。
さらに、2010年9月の新たな自己資本比率規制「バーゼルⅢ」※4の公表、同年10月の「金融ADR制度」※5の運用開始など、さまざまな規制・制度が整備された。
なお、日本の金融機関はこの時期、サブプライムローン問題で体力の弱った欧米金融機関と資本提携を行うなど、国内外でダイナミックな合従連衡が相次いだ。
2011年3月11日、宮城県沖でマグニチュード9.0の巨大地震が発生し、宮城県北部で最大震度7を記録した。北海道地方から関東地方にかけての太平洋沿岸には10m近い高さの大津波が押し寄せ、東京電力福島第一原子力発電所では原子炉のメルトダウン(炉心溶融)によって大気中や土壌、海洋などに大量の放射線が放出された。
この「東日本大震災」(巨大地震および関連する津波や原発事故などの災害の総称)での死者・行方不明者・震災関連死は約2万3,000人、建物の全壊・半壊・流失は約40万戸にのぼり、明治以降では関東大震災に次ぐ被害規模となった。
千葉県内でも旭市などの沿岸部で津波による死者が出たほか、千葉市や浦安市、香取市などで液状化現象が発生し、市原市の石油コンビナートではタンク爆発による火災も起こった。こうした直接被害に加え、柏市や松戸市など高濃度の放射性物質汚染が確認された地域はホットスポットと呼ばれ、一時期人口が流出したほか、広範囲で計画停電が実施されたことによって、観光業や製造業が不振に陥るなどの間接被害もあった。
震災による千葉県の被害は、死者・行方不明者が24人、建物の全壊・半壊等が約6万8,600戸となり、県人口も2011年から2013年にかけて、2年連続で1万人以上減少した。
しかしながら、その後の官民の復旧・復興に向けた懸命の努力により、徐々に千葉県の景況感は上向きとなっていった。四半期ごとに発表される「企業経営動向調査」(ちばぎん総合研究所調べ)の業況判断BSI※6(全産業)では、2011年4-6期が▲9.9であったのに対し、復興需要が本格化してきた同年10-12期には+2.3と好転した。また、県人口も2013年4月には7,000人以上の増加に転じた。
※1 サブプライムローン
米国で取り扱われていた信用力の低い低所得者層向けの住宅ローン。
※2 企業金融支援特別オペレーション
日本銀行に担保として差し入れられている民間企業債務の範囲内で、金額に制限を設けずに、無担保コールレートの誘導目標と同水準の金利で資金を貸し付ける資金供給オペレーション。
※3 中小企業金融円滑化法
正式名称は「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」。当初は2011年3月までの時限立法であったが、2度延長され、2013年3月まで存続した。
※4 バーゼルⅢ
リーマンショックを教訓として、国際金融システムのリスク体制を高めることを目的に策定された銀行規制に関する国際統一基準のこと。バーゼルⅡよりも自己資本比率規制が厳格化され、急な資金の引出しに備える流動性規制や、過度なリスクテイクを抑制するためのレバレッジ比率規制等が新たに加わった。2013年より段階的に実施され、2028年初より最終化が完全実施される見通し。
※5 金融ADR制度
ADRとはAlternative Dispute Resolutionの略で、金融分野での裁判外紛争解決手続きを指す。
※6 BSI
Business Survey Indexの略で、業況判断指数のこと。企業経営者に、業況に関する実績判断や見通しを「好転・横ばい・悪化」の選択肢から回答してもらい、これを数値で表したもの。