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2020年4月、第14次中期経営計画「NEXT STEP 2023~未来へ、つながる・超える~」(~2023年3月)がスタートした。当行グループが「お客さまや地域社会のパートナーとして最新の金融サービスを提供し、地域経済の持続的な発展に貢献する」という使命を果たすため、これまで以上にお客さまや地域とつながり、ともに未来への歩みを進めるという想いを込めて、名称を“NEXT STEP”とした。
前中計で構築した経営基盤を土台として、この3年間は、既存業務の深掘りと、地域金融機関の枠組みを超えた新たなビジネスへの挑戦に積極的に取り組むとした。その背景には、急速なデジタル化の流れや超低金利時代の長期化など、厳しさを増す経営環境があった。また、SDGsの達成に向け企業に求められる社会的役割も高まるなか、中長期的な視点で事業活動を展開することが不可欠となっていた。
本中計では、「金融機能の深化と地域金融の新たなモデル構築による『カスタマー・エクスペリエンス』※1の向上」をビジョンに掲げ、すべての取組みをお客さま起点で進めていくことで、真に役立つサービスを提供していくことを目指した。また、「お客さまに寄り添い共に進化し続けます」「お客さまの未来のために新たな価値を創造し続けます」「提携戦略を高度化します」「サステナブルな経営を実現します」の4つの基本方針のもとで、12の重要戦略に取り組んでいくとした。
計画策定段階では想定していなかった新型コロナウイルスの感染拡大という事態に直面したことで、環境認識を改めるとともに、追加施策を実行に移していった。具体的な環境の変化としては、デジタル技術の急速な進歩でフィンテックの重要性が増したこと、人どうしの接触機会を避けるため非対面取引に対するニーズが高まったこと、テレワークなど柔軟な働き方が重視されるようになったこと等が挙げられた。
そこで当行は、顧客サービスや業務のデジタル化を推進するため、経営企画部と営業企画部が中心となって三つのムーンショット目標※2を策定するとともに、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の実現に向けた取組みを開始した。また、来店客数の減少を踏まえ、営業店の事務人員の基準を見直したうえで一部の人員を収益部門へ再配置した。このほか、テレビ会議システム(Live On)やWeb会議システム(Zoom、Webex)の導入により、セミナー、採用・研修のオンライン化を進め、職員にはテレワークを推奨するとともに、交替勤務や分散勤務にも対応した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより顕在化した、事業者の経営課題や個人の価値観・行動の変化に対応するため、既存業務を進化させ、真に価値あるサービスの提供に努めた。
法人分野では、将来にわたる経営のパートナーとなるべくコンサルティング業務に注力した。デジタル化支援を行う「ICTコンサルティング業務」の取扱いを開始するとともに、経営承継コンサルティング部を新設して事業承継やM&Aニーズへの対応力向上を図った。
個人分野では、ライフデザインシステム※3などを活用しながらお客さま一人ひとりのニーズに沿った最適な金融サービスの提供に努めた。
地方創生の分野では、県内の複数自治体と地方創生SDGsに関する連携協定を締結したほか、地域活性化に向けて地元企業や観光協会などが取り組むさまざまな実証事業を支援した。
銀行の枠組みにとらわれない新たなサービスの開発や事業領域の開拓を進めた。
環境の変化に対応するため、DXを重要課題と認識し、デジタル改革部を新設して推進にあたった(2023年4月、デジタル戦略部の新設に伴い廃止)。個人向け「ちばぎんアプリ」のリニューアルに続き、法人向け「ちばぎんビジネスポータル」の提供を開始したほか、データマーケティングの高度化を図り、データ分析・検索システム「ダイナトレック」の導入によって顧客ごとにパーソナライズされた付加価値の高い提案につなげた。
キャッシュレス事業では、「TSUBASAキャッシュレス決済プラットフォーム」を構築し、ちばぎんアプリとの連携など、サービス拡充を図ったほか、クレジットカード事業を担うグループ2社の本社をワールドビジネスガーデン(千葉市美浜区)に移転するなど、活動拠点の集約を行った。
さらに、新事業もスタートさせた。地域商社「ちばぎん商店」を設立し、地元企業の新商品や新サービスを応援する購入型クラウドファンディングサイト「C-VALUE(シーバリュー)」をリリースした。また、第四北越銀行、中国銀行、野村ホールディングスとオンラインによる金融コンサルティングサービスを提供する「オンアド」を設立し、営業を開始した。
他行や異業種との連携を一層強化し、新たなサービスや事業の創出を行った。
既存のアライアンス・パートナーシップの枠組みにおいては、TSUBASAアライアンス株式会社内「事業戦略部」の設置、武蔵野銀行との「TSUBASAキャッシュレス加盟店サービス」の協業開始、横浜銀行との保険商品の共同開発などを行ったほか、新たにDX推進の戦略的協働パートナーとしてチェンジと業務提携し、DX人材の育成、自治体におけるDX支援などで協働を開始した。さらに、DXの高度化・推進強化に向けてソニー銀行との異業種連携をスタートさせた。
将来の環境変化にも揺るがない持続可能な経営の実現に向け、業務効率化、人材育成、SDGsの推進などに取り組んだ。
営業店事務におけるペーパーレス・印鑑レスを目指し、中国銀行・日本アイ・ビー・エムと共同開発した「TSUBASA汎用ペーパーレスシステム」を導入したほか、住宅ローン業務において電子契約サービスの取扱いを開始した。
人材育成の分野では、新たにグループCHRO(最高人事責任者)を配置し、グループ全体の人事戦略の高度化を図った。特にDX人材の育成に力を入れ、行内研修や外部派遣などをカリキュラムとする「DXトレーニー制度」や独自の「DX認定制度」を開始した。また、職員一人ひとりにあった育成プログラムを提供する企業内大学「ちばぎんアカデミー」を開校した。
SDGsの達成に向けては、経営企画部内に新設したSDGs推進室を中心に、脱炭素やサステナブルファイナンスの推進、「ちばSDGs推進ネットワーク」を通じた地域とのネットワーク形成を進めた。
第14次中期経営計画2期目の2021年6月、佐久間頭取が取締役会長兼グループCEOに、取締役専務執行役員の米本努(よねもと つとむ)が第9代頭取兼グループCOOに就任した(2023年4月より米本頭取がグループCEOに就任)。
新体制では、佐久間会長が引き続き経済団体などの公職を引き受け、千葉県経済同友会代表幹事、千葉商工会議所会頭、千葉県商工会議所連合会会長、千葉県公安委員会の委員に就任している。米本頭取は銀行協会などの業界対応にあたり、2022年6月には、1年間の任期で全国地方銀行協会の会長に就任した。
また、当行で初めて生え抜きの女性取締役が誕生したことで、全取締役に占める女性取締役の比率が3分の1となった。
※1 カスタマー・エクスペリエンス
将来も含めて、当行グループとの取引によりお客さまが得る経験の積み重ねの総称。
※2 ムーンショット目標
アポロ計画を発表した時の米大統領のスピーチに由来する、大変な困難を伴うが実現すれば大きなインパクトがある壮大な目標や挑戦のこと。
※3 ライフデザインシステム
業務提携する「ほけんの窓口グループ」が開発した保険コンサルティングツール。