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2009年3月、竹山頭取が取締役会長に、取締役常務執行役員の佐久間英利(さくま ひでとし)が第8代頭取に就任した。竹山頭取が病に倒れたため、任期途中での頭取交代であった。なお、佐久間頭取は2009年7月より千葉県経済同友会代表幹事、2018年11月より千葉商工会議所会頭と千葉県商工会議所連合会会長に就任し、全国地方銀行協会会長を2回(2012年6月~2013年6月、2017年6月~2018年6月)務めた。
佐久間頭取の就任間もない2009年4月に、第10次中期経営計画「1st1st(ダブルファースト)」(~2011年3月)がスタートした。本中計の名称には、ゴールの2011年に向け、「お客さま第一主義」(Customer First Policy)を徹底し、「地域のトップバンク」(First-rate Bank in the Region)の地位を確固たるものにするという狙いを込めた。主要課題に「金融仲介機能の強化と質の高い金融サービスの提供」「強靭な経営体制の構築」「人材育成の強化」を掲げ、「常にお客さまの声に謙虚に耳を傾け、お客さまの視点で考え、お客さまのために行動していく」ことを指針とした。
続いて2011年4月には、第11次中期経営計画「フロンティア70」(~2014年3月)がスタートした。この直前に起こった東日本大震災の影響を踏まえ、本中計は決済機能の維持や地域への円滑な資金供給を通じて、地域経済の復興・発展に寄与していくことを強調する内容とした。名称の「フロンティア70」には、来るべき創立70周年に向け、限界を超えて新たな領域へと踏み出していくという決意を込めた。本中計では、経営課題に「営業態勢の強化」「地域経済への積極的な貢献」「経営管理態勢の高度化」「人材育成の充実」を掲げるとともに、競争力強化につながる取組みを「コミットメント150」として公表し、その進捗を開示していくとした。
佐久間頭取は、就任当初から「お客さま第一主義」を前面に打ち出し、前述の二つの中期経営計画でもこの考え方を徹底した。
特に、「フロンティア70」では、お客さま第一主義を全役職員共通の行動基準として明示したほか、外部モニター調査での優良店を表彰する「CS優良店認定制度」(2009年4月)、頭取を委員長とする「お客さまサービス改善委員会」の設置(2012年4月)など、新しい施策を実施した。
こうした取組みが実り、銀行の店頭サービスや商品の充実度などを毎年ランキング形式で発表している「銀行リテール力調査」(日本経済新聞社と日経リサーチの共同調査)において、当行は2008年と2009年に2年連続で総合1位となった。
2009年6月に本部機構を見直し、役員をユニット長とする3ユニット制(企画管理ユニット・審査ユニット・営業ユニット)を導入した。これにより、ユニット内の意思決定の迅速化を図るとともにユニット間の相互牽制を働かせた。なお、監査の独立性を確保するため、監査部だけはユニットに属さず専任の担当役員を置き、2011年6月には同部を取締役会直轄とした。
また、業績および企業価値向上に対する役員の貢献意欲を高めるため、2010年6月より、ストックオプション※7を付与する制度を導入した。これに伴い、賞与と退職慰労金は廃止した。この制度は株価によって受取報酬額が変動するため、成功報酬の要素も加わった。
当行は、株主価値の向上を目指し、積極的な株主還元に努めた。2003年3月期〜2008年3月期にかけ、一株当たり年間配当金を5円から11円にまで引き上げ、2013年3月期には創立70周年の記念配当(一株当たり1円)も行った。
また、株価に左右されない個人の長期安定株主を増やす目的で、2008年度に株主優待制度を導入した。優待内容は千葉県の特産品を中心としたカタログギフトとし、2010年度には金融商品・サービスの優待が受けられる「金融コース」も追加した。
さらに、自己株式の取得と消却も実施した。2013年3月末までの取得実績は累計で4,200万株、消却実績は2,000万株(発行済株式総数の2.2%相当)となった。これらの還元策により、株主還元率は2005年3月期の13.8%から2013年3月期には44.8%に上昇した。
※7 ストックオプション
あらかじめ会社が定めた価格で、役員などが自社株を購入できる権利。