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当行では、DXを推進するうえでの課題の一つに掲げた新事業、すなわち将来を見据えた新たな事業領域についての検討を進めるなかで、まず取り組んだのが地域商社事業であった。
2021年5月、当局から銀行業高度化等会社※15の認可を取得すると、当行全額出資により「ちばぎん商店」を設立した。同社は地域産品・サービスの販路開拓やマーケティング支援を通じて地域の経済循環システムを構築し、地域社会の持続的な発展に貢献していくことを目的とした。
コロナ禍で非接触による購買ニーズが高まっていることを受け、まずクラウドファンディング事業・EC(電子商取引)事業をスタートさせた。その第1弾が、同年10月に立ち上げた購入型クラウドファンディングサイト「C-VALUE」であった。
サイトの名称には、「千葉(CHIBA)の新たな価値(VALUE)を生み出す」という意味が込められており、消費者は商品・サービスの購入を通じて地元の生産者・事業者を応援し、プロジェクト出品者はその資金を元手に新商品・サービスの開発につなげていく仕組みとなっている。ちばぎんアプリやSNSなどを活用したプロモーションによって、これまで多くのプロジェクトが目標金額を達成しており、ローカル線沿線地域に特化した特別企画も誕生した。また、2021年12月には、「C-VALUE」で取り扱った商品をプロジェクト終了後も継続して購入できるECサイトを開設した。
このほか、地域の催事・イベント会場でマルシェを開催するなど、デジタルとリアルの両チャネルで消費者に魅力を伝えている。
なお、同社ではマーケティングのノウハウ、消費者の行動・購買データを蓄積し、将来的には、住宅購入などのライフイベントや日常生活でも役立つサービスの提供を目指している。
当行は、2021年5月より、TSUBASAアライアンスで連携する第四北越銀行、中国銀行および証券業界大手の野村ホールディングスと、業態を超えた総合的な金融コンサルティングサービスを提供する合弁会社設立の準備を進めてきた。背景には、人生100年時代を迎え、自助努力による資産形成への関心の高まりや、コロナ禍でのリモート取引の増加といった社会環境の変化があった。
2022年1月に「オンアド」を設立、関係当局への投資助言・代理業の登録などを経て、4月より営業を開始した。社名の由来はオンライン・アドバイスとオンリー・アドバイスからきている。
同社が提供するサービスは、「中立性」「アドバイス特化」「リモート完結」を特徴とする。金融商品・サービスの媒介等は行わず、専任アドバイザーが中立的な立場で顧客のライフプランに合った資産形成や管理の助言を行い、予約・面談などはオンラインを基本としている。
2022年10月、当行はDXの高度化・推進強化のパートナーとしてソニー銀行と業務提携した。地域金融の担い手である地方銀行と、最新のテクノロジーを活用した金融サービスを提供するネット銀行とで両行のビジネスモデルは異なるものの、DXの推進により顧客サービスの向上を目指す点では一致しており、各々が強みとする領域や機能を補完し合うことで大きなシナジーを生み出せると考えた。
この提携では、デジタル技術や商品・サービスの相互提供と、テクノロジーの活用についての共同研究によって新商品・サービスの創出を目指しており、同年12月より両行の本部部署が参加する業務別のタスクフォースを立ち上げ、具体的な協業の検討を進めている。
※15 銀行業高度化等会社
2016年の銀行法改正で導入された銀行の子会社・兄弟会社の類型。情報通信技術などを活用し、銀行業の高度化や銀行利用者の利便性向上、地域の活性化などに資する業務を営む会社のこと。