目次
閉じる
- 第1部
- 第2部
- 第3部
目次
閉じる
2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)※25によって、わが国でも地球環境や人権問題などへの関心が高まり、政府、自治体、企業、学校といったあらゆるステークホルダーによって目標達成に向けた取組みが進められていった。
当行においては、「地域経済・社会」「高齢化」「金融サービス」「ダイバーシティ」「環境保全」の5つの分野で、重要な社会・環境課題(マテリアリティ)を定めた。そして、これらマテリアリティに対する当行グループの取組姿勢を「ちばぎんグループSDGs宣言」として明文化し、2019年5月に対外公表した。なお、地域が抱える課題はTSUBASAアライアンスの参加各行にも共通することから、同日、「TSUBASA SDGs宣言」も行った。
また、社会課題の解決に取り組むことが中長期的な企業価値向上につながるとの観点から、同年7月に従来のグループCSR活動方針を見直し、「ちばぎんグループサステナビリティ方針」を制定した。この方針のなかで、当行はマテリアリティを含む地域社会のさまざまな課題解決に取り組み、長期志向で社会価値と経済価値の両立を目指す持続的経営を行っていくことを表明した。
ちばぎんグループは、持続可能な地域社会実現に向け、金融仲介機能の発揮等の本業に加え、誠実かつ公正な企業活動、気候変動等の環境問題など地域社会を取り巻くさまざまな課題解決に向けた活動等に取り組み、経済価値と社会価値の両立を目指す持続的経営を行ってまいります。
これらの活動について、グループ役職員一人ひとりが当事者という意識を持って、積極的に取り組むとともに、情報開示をつうじ、ステークホルダーの皆さまとのより良い信頼関係を育み、「新たな地域社会の未来」を共に創ってまいります。
SDGsで掲げられた17の目標(ゴール)のなかでも環境問題、特に地球温暖化による気候変動への対応や脱炭素社会の実現は、世界各国が足並みをそろえて取り組むべき大きなテーマであった。わが国においても、異常気象の頻発や自然災害の激甚化などによってこうした問題を身近に感じるようになり、さまざまなレベルで取組みが進められた。
当行においては、2019年12月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)※26提言に賛同を表明し、気候変動のリスク・機会がもたらす当行の事業活動や業績への影響を統合報告書などでステークホルダーに適切に開示していくとした。
また、2020年5月、環境や社会への影響が大きい特定のセクター(①新設の石炭火力発電所、②クラスター弾製造企業、③パーム油農園開発、④森林伐採事業)に対する融資ポリシーを公表したほか、同年11月には「ちばぎんグループ環境方針」を制定し、グループ全体で気候変動を含む環境課題の解決に向けた取組みを行っていくことを表明した。
なお、こうした姿勢が評価され、世界的に権威のあるCDP(旧名称はカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)※27の「2021年度 気候変動調査レポート」において、当行は邦銀の最高水準となる8段階中、上から2番目の「A-」を取得した。
さらに、政府が目指す2050年までの脱炭素社会の実現に向けては、再生可能エネルギー関連融資やトランジションファイナンス※28といったサステナブルファイナンスへの積極的な取組みが必要であると考え、2019~2030年度までの実行額目標を2兆円、うち環境系ファイナンス実行額目標を1兆円に設定した。当行も2022年3月、2030年度までにCO2排出量ネットゼロのカーボンニュートラル(脱炭素)を達成することを公表し、10月より、自社契約電力を再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えた。また、2022年3月、経済産業省の「GXリーグ基本構想」※29に賛同を表明した。
当行は、2020年11月に「ちばぎんグループ人権方針」を公表し、世界人権宣言など国際的な人権基準を基本としながら、役職員、お客さま、サプライヤーなどすべてのステークホルダーに対し、人権を尊重し、侵害しないことを求めていくとした。
このほか、英国で2015年7月に施行された「現代奴隷法」※30への対応として、ホームページ上で毎年度、同法の遵守に関するステートメント(声明)を発表している。2021年度のステートメントでは、現地のロンドン支店のみならず、当行全体の業務運営において奴隷的労働や人身売買等による人権侵害を排除すること、サプライヤーを含め人権侵害が存在していないことを表明した。
当行では、SDGsの達成や脱炭素社会の実現に向けた取組みをグループ一体で推進していくため、2021年10月、経営企画部内にSDGs推進室を新設した。また、主要な関連部に同室の兼務者を配置したほか、すべての本部部署とグループ会社で新たにSDGs推進担当者を任命し、それぞれが連携しながら行内外での取組みに力を入れていった。
SDGsの理解促進と取組みの周知を図るため、これまでe-ラーニングや広報誌での特集、管理職のSDGsバッジの着用、ニュースリリースでの関連目標(ゴール)の明示などを行った。また、金融商品・サービスの開発により、本業を通じて取引先への普及・啓発も進めている。特徴的なものは以下のとおりである。
SPTs※31
また、2022年1月には、当行の働きかけによって「ちばSDGs推進ネットワーク」が発足した。千葉県や県内金融機関、経済団体ら12企業・団体が加盟し、当行は事務局を担っている。この枠組みを活用しながら、取引先企業を中心に千葉県の「ちばSDGsパートナー登録制度」※32の周知や、SDGsへの理解と普及を促している。なお、こうした官民連携の取組みが評価され、2023年2月に内閣府の「地方創生SDGs金融表彰」を受賞した。
※25 SDGs(持続可能な開発目標)
Sustainable Development Goalsの略で、「誰一人取り残さない」包摂的で持続可能な社会の実現を目指す世界共通の目標のこと。17の目標(ゴール)と169のターゲットで構成されており、2030年を達成年限としている。
※26 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
Task Force on Climate-related Financial Disclosuresの略で、金融安定理事会(FSB)が設立した国際的支援機関。企業等に気候変動リスク・機会に関するガバナンス・戦略・リスクマネジメント・指標と目標の開示を推奨している。
※27 CDP
2000年に発足した英国の非政府組織(NGO)で、世界の主要企業等の環境活動に関する情報の収集・分析・評価を行い、その結果をレポートで公表している。
※28 トランジションファイナンス
事業活動を脱炭素型・低環境負荷型に移行させるための投融資のこと。
※29 GXリーグ基本構想
わが国の2050年カーボンニュートラル達成に向け、国際ビジネスで勝てるような企業群がステークホルダーも含めた経済社会全体の変革(グリーン・トランスフォーメーション)を牽引していくことが重要であるとの考え方。
※30 現代奴隷法
現代の奴隷労働や人身取引における法的執行力の強化を目的として制定された英国の法律。サプライチェーンからの奴隷制排除のため、2015年10月より、英国で活動する年間売上高一定規模超の企業・団体等に対し、声明の公表を義務付けている。
※31 SPTs
Sustainability Performance Targetsの略。自社のSDGs・ESG戦略に整合した野心的かつ有意義な事業挑戦目標のこと。
※32 ちばSDGsパートナー登録制度
千葉県がSDGs推進の機運醸成を目的に、2021年11月に創設した制度。SDGsの達成に向け積極的に取り組む県内企業等を登録し、ホームページでその取組みを紹介するほか、登録企業は低金利の県制度融資が利用できるなどのメリットがある。